日本、国別幸福度調査で53位…1位のあの国、1日7時間以上の労働NG、定年退職なし
現在、デンマークはオーガニック農産物をドイツ、スウェーデン、オランダ、フランスなどのEU諸国にも輸出し、シェアを伸ばしています。また、すべての食品の売上高の7.8%がオーガニックであることも注目に値します。国内のオーガニック農業の栽培面積シェアが0.4%の日本とは大きく違います。それだけではなく、デンマークが行っている素晴らしい取り組みのひとつは、2020年には農業を100%オーガニックにしようという試みです。
遅まきながら日本も、06年12月に「有機農業の推進に関する法律」が制定されましたが、それ以降もオーガニックの比率が伸びたわけではありません。15年2月25日には「有機農業の推進に関する全国会議」を開催し、180名の有機農業者、団体、行政等の有機農業関係者が出席しています。そして翌16年2月29日にも再び「有機農業の推進に関する全国会議」を開催しましたが、この時の出席者は150名と、前年より30名も少なくなってしまいました。
要するに農林水産省は、日本にオーガニックが定着することを本気で望んでいるとは考えにくく、そこに力を注ぐ気もないと見て取れる結果といえるでしょう。
消費者の意識に変化の兆し
私の友人に、農協に勤務しながら、そのような農水省のあり方に対し非常に批判的な人が何人かいます。しかし、圧倒的に少数派であり、真面目に長年にわたって勤めているにもかかわらず、その体制に批判的なことから閑職に追いやられ、自らの出世は望むべくもなく、当然のことながら天下り先もありません。しかし、日々農協職員としての正しいあり方を模索しつつ、がんばっているのです。
彼らの努力が報われるかどうかはわかりませんが、日本の農業者もずいぶんと変わってきました。たとえば、慣行農法(従来の農薬や化学肥料を使った農業のこと)を行っている農業者の49%は、「条件が整えばオーガニックに切り替えたい」と答えています。また、新規就農を希望する人たちの28%は、「最初からオーガニックでやりたい」と考えています。
消費者の意識にも変化の兆しがあり、オーガニック農産物に関して、44%の人たちが「すでに購入している」と答えており、「一定の条件が揃えば購入する」と答える人は55%もいるのです。そしてオーガニック農業が農薬・化学肥料を使用しないことで、環境への負荷を減らす役割があることを知っている人は80%を超えています。これは劇的な変化といっていいでしょう。
農水省は、オーガニック農業の推進及び普及の目標として、18年度までにオーガニック農業の耕地面積の割合を現状の0.4%から1%にまで引き上げるという低い目標を掲げていますが、それすらも本気で達成しようとしているかは不明です。したがって、残念ながら日本におけるオーガニックの普及は、民間レベルで進めていかなければならないのです。