さて、肝心の利用にあたり、唯一難しい問題がある。それは、体がずり落ちてきてしまうことである。滑らないシーツを利用して、足元に滑り止めをつくるなど、いくらか工夫を要するかもしれない。また、慣れるまでの2週間程度は、ずり落ちないように無意識に体を動かすことで、むしろ筋肉痛や肩こりを起こすこともあり得るという。
そして、多くの人々が体験する変化は、排尿が促されることである。IBTを始めると、より多くの老廃物が血液から取り除かれるようになり、尿は濃くなるという。そして、水分が多く排出されるため、水分補給はこれまで以上に求められるようになるとされる。
また、理学療法士、栄養士、そしてトラウマ解放セラピストのケン・ウゼル氏によると、奇しくも感情的なトラウマが3~4週間で解放されるようになり、健康面で改善がみられるようにもなるという。
フレッチャー氏の調査によると、概してIBTで睡眠をとる人々は1分間で心拍数を10~12回、呼吸の回数を4~5回減らすが、循環は増すという。そして、20年以上研究を行ってきた経験から、IBTは循環、代謝、免疫力を高めるがために、さまざまな病気や怪我の回復に幅広く効くのだとフレッチャー氏は考えている。
とはいえ、フレッチャー氏は医師ではなく、IBTによるビジネスもまったく考えていない。そのため、多くの人々がIBTによって健康を取り戻しているものの、医療の専門家はほとんど相手にしていない。開発された医薬品や治療法は、開発者、研究機関、製薬メーカーが協力して利益を上げられる体制が整ってはじめて大々的に宣伝され、普及していくものである。かかわる人々がなんらかのかたちで利益を上げられるような療法でなければ、協力するメリットはない。2000年にIBTについて報じたテレビニュースにおいて、そんなジレンマも指摘されていた。
布団では難しいかもしれないが、ベッド利用者であれば、簡単に試すことができる。この機会に読者も検証してみてはいかがだろうか。
(文=水守啓/サイエンスライター)
【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、リバース・スピーチ分析家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。著書に『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』、『世界を変えるNESARAの謎』(明窓出版)などがある。
ホームページ: http://www.keimizumori.com/