健康食品「そば」に驚愕の効能!糖尿病や認知症など多くの病気抑制…がん細胞の死滅に期待も
そばの抗酸化作用で糖尿病などの抑制も
そばは、ルチンやポリフェノールを含む健康食品として注目されています。ルチンは1930年代にハーブの効能成分として発見され、当時はビタミンPと呼ばれていました。その後の研究で、当時ビタミンPと呼ばれていたものはルチンを含む複数の成分が混ざり合ったものであったことがわかっています。現在はルチンをビタミンPと呼ぶことはありませんが、ルチンにビタミンのような作用があることは確認されています。
ルチンの生理的な機能については21世紀になって発見が続いていますが、いずれも基本作用は抗酸化です。酸化とは、鉄でいえばさびること。酸素は呼吸に必要なものですが、非常に有害な化学物質でもあります。細胞は酸素によってダメージを受け、それがきっかけでさまざまな病気を発症してしまうのです。
抗酸化作用のある食品で細胞の酸化を防ぐことは、ピカピカの釘をさびさせることなく美しいまま保つことと同じであり、心疾患、糖尿病、認知症、全身の老化の抑制につながるとされています。また、ルチン特有の作用として毛細血管の強化があり、動脈硬化や脳血管疾患の予防や高血圧の改善などに効果があるという動物実験の結果が出ています。
さらに、抗がん剤としての可能性も見いだされています。がん患者の体内では、がん細胞が無限に増殖するために栄養を大量に必要としています。その栄養を供給するために、がん細胞は自らの周辺に新たに血管をつくり出すのですが、ルチンにはがん細胞が新たな血管をつくることを妨害する作用があるらしいことが、試験管内の実験でわかり始めています。
ルチンの構造の一部分を変更することによって、作用が大きく変わることもわかっています。そのため、今後のさらなる研究によって、ルチンを基本的な構造としてがん細胞を効果的に餓死させる抗がん剤が開発できるのではないか、という期待があり、その有効性の検証が続けられています。
年末年始は食べすぎや飲みすぎで体に負担のかかる季節です。ビタミンや抗酸化の作用があるルチンを含むそばをしっかり食べて、健やかに過ごしたいものですね。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー)
【参考資料】
「日穀製粉株式会社」
『食品機能性の科学』(産業技術サービスセンター)
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』 野菜を食べると体によい。牛肉を食べると力が出る。食べ物を食べるだけで健康に影響を及ぼし気分にまで作用する。なんの変哲もない食べ物になぜそんなことができるのか? そんな不思議に迫るべく食べ物の体内動態をちょっと覗いてみよう。