実は食品会社やレストランなどの飲食関係で使用されている添加物のほとんどは、「添加物製剤」です。添加物はただ一種類の物質のこともありますが、多くの場合、いろいろな添加物や食品素材と混ぜ合わせた添加物製剤が、食品会社に納入されます。
中国、韓国、東南アジア諸国などから安い添加物、材料を買い集めて混ぜることにより、さまざまな添加物製剤ができるのです。賞味期限の設定は長年の「勘」で行っている食品添加物メーカーもあります。当然、十分な化学分析などは行わず、その能力もありません。
添加物製剤はいろいろなものを混ぜてつくるため、不純物も混ぜ込まれることになります。中国産、韓国産の不純物など、不純物も国際色豊かになります。
添加物に含まれる不純物
では、法令上許されている添加物に含まれる不純物の例を挙げてみましょう。
・ショ糖脂肪酸エステル
これは乳化剤として非常によく使用されております。この添加物は化学合成でつくられています。つまり合成乳化剤です。例えば、食パン、菓子パン、コーヒークリーム、アイスクリーム、ホイッピングクリーム(牛乳のクリームを泡立てたもの)、マーガリン、パンなどに塗るファットスプレッド、チョコレート、ケーキ類、ある程度の水分を含んでいるでんぷん食品など、幅広く使用されております。あらゆる食品にいくら添加してもよいのです。使い放題、不純物は身体に入り放題です。
そもそもこのショ糖脂肪酸エステルの純度(法令では含量といいます)は、何も決められていません。法令上は不純物がいくら含まれていてもよいのです。
では以下に、「食品衛生小六法」(2010年版/新日本法規出版)に基づき、法令上許されている添加物に含まれる不純物の量をまとめます。ここに示したのは一部にすぎません。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
赤色2号 着色料(赤色2号) 15%以下
赤色102号、3号、40号104号、105号、106号、黄色4号、5号、緑色3号、青色1号、2号についても上と同じです。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
カラメル色素Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ カラメル色素、着色料(カラメル) 規定なし 不純物がいくら含まれていてもよい。不純物の一つであるイミダゾールについては規定あり。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
ソルビン酸 保存料(ソルビン酸) 1%以下 不安定な物質。空気中の酸素で変化。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
ショ糖脂肪酸エステル 乳化剤 規定なし 単一物質ではない。色々なショ糖脂肪酸エステルの混合物。個々の物質についてはなんの規定もなし。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
ショ糖イソ酪酸エステル 乳化剤 規定なし 同上
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
グリセリンエステル 乳化剤 規定なし 多くの種類があるが、表示は乳化剤だけでよい。
添加物名 食品での表示 不純物の量% 備考
アセチル化アジピン酸架橋デンプン 加工デンプン 規定なし 添加量の規制なし。加工デンプンは化学合成添加物。全部で11種類。すべて不純物の量の規定なし。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)