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がん検診に変革をもたらす新技術!発見しにくいがんが血液検査で見つかる?

文=中村祐輔/シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センター副センター長
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技術の標準化と挑戦こそが重要

 また、血液を採取してからDNAを回収するまでの時間が、どの程度解析結果に影響するのかも検討しなければならない。質の悪い研究者が、無茶苦茶な実験条件でごみの山を築き上げて、解析結果の解釈に混乱を引き起こす前に、技術の標準化が不可欠だ。

 米国のNIH(アメリカ国立衛生研究所)には技術の標準化を専門にする研究機関があるが、日本にはない。また、「できるかどうかわからない場合に、何もしない」ことを選択する文化を捨て、「できるかどうかわからないなら、挑戦してみる」ことが必要だ。これができなければ、永遠にイノベーションなど生まれない。

 私は、発見しにくいがんである卵巣がん、膵がん、胆管がんなどでも大腸がんと同じレベルで検出可能なら、その臨床的意義は高いと考える。とにかく、有用性を急いで評価する方向で研究を進めたい。

「P53遺伝子(注3)の異常が検出されても、どこにがんがあるのかわからないと意味がない」と、したり顔で偉そうにしている研究者がいるが、こんな人たちが日本の研究の足を引っ張っている。今日できないことが明日突然できるようになるのではない。地道な努力を続けることによって、日々、技術は改善され、実用化にたどり着くのだ。

 卵巣がん・膵がん・胆管がん患者団体の方々、ぜひ一緒にやりましょう。それ以外の患者団体の方々も、できることがあれば一緒に行動を起こしましょう。
(文=中村祐輔/シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センター副センター長)

※『中村祐輔のシカゴ便り』(http://yusukenakamura.hatenablog.com/)2017/0327より転載

編集部注
注1 プレシジョン医療~より精密な対応を行う個別化医療
注2 リキッドバイオプシー(liquid biopsy)~主にがんの領域で、血液などの体液サンプルによって診断、治療効果などの予測を行う技術
注3 がん抑制遺伝子の中で最も有名な遺伝子の1つ

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