車でのお出かけの際、気をつけなければならないこととは?
新型コロナウイルス感染予防として、「三密」を避けマイカーでの旅行や帰省をする方も多いようです。車でお出かけの際に気をつけなければならないことは、なんでしょう。交通事故はもちろんですが、自然災害にも気をつけましょう。
初冬から春先にかけて低気圧が急激に猛発達し「爆弾低気圧」と呼ばれる現象が起こることがあります。台風なみの暴風が吹き荒れ、貨物船が転覆したり、イベントテントが巻き上げられたりといった被害が出ます。
爆弾低気圧は吹雪をもたらし、ホワイトアウトと呼ばれる現象を引き起こすことがあります。視界が真っ白になり、何も見えない状態になり、想像を絶する状況といえます。
ホワイトアウトが起こり、玄関の数十センチ手前まで来てたのに方向を見失い、たどり着けず力尽きて凍死する例もあります。吹雪の中、車を停めて待機中に車ごと雪に埋もれてしまい、暖を取るためにかけていたエンジンの排ガスが原因で一酸化炭素中毒となり、車中で家族4人全員が亡くなってしまったという例もあります。
動かなくなった車から外に出て助けを求めた父娘が、方向を見失い、凍死していた父。幼い娘は父の体に守られ助かったという壮絶な話は、多くの人の涙を誘いました。雪や吹雪を知っているはずの地元の人でさえ、こんな悲劇に見舞われる恐ろしい災害です。
車の運転中にホワイトアウトに遭うと、周囲が白一色となる冬の道路では、道路とそのまわりの景色の区別がつかなくなります。実際にホワイトアウトに巻き込まれた人の体験を聞くと、「上下左右の方向感覚もわからなくなり、めまいがしてくる」「ブレーキは踏んでいても、進んでいるのか止まっているのかさえ、わからなくなる」とのこと。異常気象の時代に生きる私たちは、いつ慣れない雪道で地吹雪やホワイトアウトに遭わないとも限りません。
雪の災害・事故を防ぐための注意事項
(1)天気予報に注意する
事前に大雪や吹雪が予想されているなら、ホワイトアウトに対して構えることもできます。積雪があり、風が強く吹いている場所は、晴天でも地吹雪が発生する可能性があるので、注意が必要になります。
地吹雪が起こる可能性のある場所は、気象庁のデータを活用することで大まかに予想できます。積雪状況について、気象庁が発表している情報が役に立ちます。
・気象庁「防災情報」 現在の雪(解析積雪深・解析降雪量)
(2)車に積載しておくべきもの
・スノーヘルパー
雪溜まりからの脱出を助ける板状のもの。
・折りたたみの鉄製スコップ
車のマフラーを雪に埋もれたままにしておくと、一酸化炭素中毒の原因になります。
・牽引ロープ
雪溜まりからの脱出のため、他の車に牽引してもらうためのロープ。
・防水・防寒のズボン、防水・防寒の手袋・長靴
雪の中の作業で衣類を濡らすと、命取りになるため。
・携帯の充電アイテム(シガーソケットから充電できるタイプもあり)
家族との連絡や助けを呼ぶ命綱です。
・使い捨てカイロ、保存の効くおやつや飲み物、古い毛布
吹雪をやり過ごす時、助けを待つ間に必要です。
これらは、ホームセンターで売っているものばかりです。
「矢羽根付きポール」
積雪の多い地域や吹雪などの危険がある場所、カーブが多い場所などに設置されている、矢印のマークのついたポール。この標識は通称「矢羽根付きポール」と呼ばれています。矢羽根の先端が道路の端に引かれた車道外側の場所を指し示しています。
北海道民には当たり前の標識、されど重要な標識なので、ぜひ覚えておきたいですね。
(文=草野かおる/イラストレーター・防災士)