よく「水虫を治す薬をつくったらノーベル賞ものだ」といわれる。しかし「白癬菌」に効く薬は、実はたくさんある。では、水虫薬はどれも効くのに、どうして治りにくいのだろうか。
それは、皮膚の深いところまで薬を浸透させることが難しいからだ。足がかゆくなったら、すぐに皮膚科に行って診てもらおう。そして「水虫」と診断されたら、毎日、薬を塗って治療することだ。治療をしていれば、かゆみが消えてくる。
だが、そこで薬を塗るのをやめてはいけない。ある意味、「ここからが勝負」ともいえる。かゆみがなくても、皮膚の深いところには、まだ白癬菌が残っているからだ。菌を全滅させないと、また菌が繁殖してしまう。
ちなみに、水虫で医師に診てもらうときの注意点がある。患部の皮膚を少し取って、顕微鏡で確認しない医師は避けたほうがいい。診察室の机の上には顕微鏡が必須だ。皮膚科の医師なら、必ず白癬菌を顕微鏡で見て診断するものだからだ。
かゆみの「ある・なし」にかかわらず、3カ月間は薬を塗る
再発しやすい水虫を完治させるためには、どのように治療すればいいのだろうか。
薬を毎日塗って表面近くの白癬菌を退治したら、深いところの皮膚が表面に出てくるのを待ち、また退治する――。これを繰り返すしかない。
皮膚の深いところに白癬菌が残っているのに、かゆみが消えたからといって治療をやめてしまうと、それまでの努力が水の泡になる。少しでも残っていれば、そこからまた繁殖してしまう。根絶やしにするまで、薬を塗り続ける覚悟で塗ろう。
私たちの皮膚は、表皮の最下層である「基底層」でつくられ、4週間ほどかけて皮膚表面に出てくる。さらに、2週間ほどたってから剥がれ落ちる。つまり、「皮膚の入れ替わり」には「計6週間」が必要になる。念には念を入れて、治療の期間を2倍にすれば「6週間×2=12週間」。つまり、3カ月間は薬を塗り続けたほうがいい。
かゆくてもかゆくなくても、3カ月間は毎日薬を塗る根気が、水虫を完治するためには必要だ。多くの人は、それ以前に治療をやめてしまうから再発するのだ。