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街の回遊性
だが、私はこれから大塚はますます発展すると思っている。まず地形が渋谷に近い。駅が低地にあり、駅から見ると、山と谷が入り組んでいる。谷にできた道の数はおそらく駅から見て10以上の方向に放射している。これが渋谷にそっくりなのだ。
道が放射状になっている街は、それらの道を横につなぐ拠点ができると、来街者が街を回遊するようになる。「串駒」とその弟子たちの店、もちろんその他の店もハシゴして歩ける。居酒屋ネットワークとでも言うべき回遊性が生まれやすいのである。
しかも大塚には先ほども書いたように銭湯がまだ数軒あるし、バッティングセンターもある。大衆的な娯楽が充実しているのだ。
今、団塊世代に次いで、私のような昭和30年代生まれが会社を定年し始めている。この世代は、どうも街歩きが好きな世代であると私は思っている。若い頃に、渋谷、原宿、青山、代官山、恵比寿あたりを歩き回った経験があるし、それらの街が、最初は今よりずっとマイナーだったのに、どんどんお店が増えていっておしゃれになっていくプロセスを知っているからだ。
そういう世代が、飲み歩きを中心として街を歩き回る時代が来ている。そのとき大塚は彼らが必ず訪れる街になると思う。
(文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表)
【参考文献】
『豊島区史 通史編2』
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