消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
今年私が産業医面談した26歳のAさんは、学生時代の交通事故で下半身不随になり車椅子生活をしています。ほかの従業員たちと同じように働いていますが、毎週仕事のない土曜日にリハビリに通っています。リハビリを行うことで今すぐ下半身が動くわけではありませんが、下半身にも刺激を与えることで神経や筋肉の萎縮(劣化)を防ぎ、いずれ将来的に医学が進歩し、再び両足で歩くことができる機会が訪れたときに、すぐにそれを受けられるようにありたいと、夢を語る姿が印象に残っています。
彼は本当は週に2~3回リハビリに通いたいようですが、現状、仕事との両立でそれはできていません。このように、障害のリハビリに参加したいが時間的制約のためできていない障害者はたくさんいます。このような人たちにも、今回の短時間勤務でも1人分の雇用とカウントされる特例が認められるのであれば、彼らの雇用継続にも結びつくと信じます。
やる気の維持こそが必要
2つめの理由は、障害者は千差万別だからです。
私の産業医先はほとんどがホワイトカラー職務です。たまたま私のクライアントには知的障害者はいないため、面談はすべて身体障害者か精神障害者となりますが、障害者雇用の従業員は年に1~2回の産業医面談を定例として設けることを企業にはお願いしています。その面談を通じて感じることは、一概に障害者雇用といっても、その従業員の障害の種類、程度、そして“やる気”は千差万別だということです。
車椅子の人に高さ調整しやすい机を用意する、視覚が不自由な人のために音声化ソフトを用意する、聴覚が不自由な人のために大きな会議では手話サービスを用意する、障害者トイレの設置等、このようなことは安全配慮のうちであり、企業にとっては障害者社員への特別扱いではないと私は考えます。
一方、どの程度の仕事を任せられるかは、一概に他人の半分量しかできないと最初から決めることのできないものです。実際の仕事内容により、量やプレッシャー、期限の有無などは本当にさまざまです。実際に長く雇用が継続している障がい者においては、しばらく働くなかで産業医-人事-部門の上司たちとのたび重なる話し合いや調整により、各障がい者社員にとって“適度”なところに落ち着いたものです。最初から決めうちではありません。各自の適度適量は千差万別なのです。
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