ミスドの定番商品ですと、たとえば『オールドファッション』でしたらサクサクとしていますし、『ポン・デ・リング』でしたらモチモチとした柔らかい食感が特徴でしょう。これに対しミスドゴハンは、モグモグと咀嚼することにより、さらなる味わいが広がってくるようなドーナツ生地を採用しているのです。
私が見る限りでは『フランクフルト』が一番売れているようでしたが、こちらはパイの風味が香り高く、中に包まれたフランクフルトは食べ終わるまでアツアツのままでした。提供前に店員が『温めますか』と配慮してくれるおかげで、食事中や食後の満足感は、かなり高いものとなっています」(重盛氏)
ミスドはミスドゴハンを導入するにあたり、専用の新型オーブンで商品を再焼成する体制を整えたとのこと。つまりミスドゴハンはテイクアウトするよりも断然、店内で食べるべき商品なのではないだろうか。
ネガティブな感想をSNSへ書き込んでいるユーザーは、テイクアウトで食していた可能性もありそうだ。
「確かに、ミスドゴハンを家のオーブンで温めても、店舗で食べたときの味わいを再現するのは難しいと思われます。そういう意味では、ミスドはお客様の“店舗体験”に強いこだわりを持っているといえるでしょう。
フードコート型のミスドですと紙コップを使用していますが、通常の店舗であれば上質なマグカップに入った温かいコーヒーを飲むことができ、『コーヒーのおかわりはいかがですか』と、店員が客席を回ってきてくれます。こうした居心地のよさに、ミスドゴハンなどの商品それ自体の魅力があいまって、ミスドの“おいしさ”というものが醸し出されるわけですね。
ミスドはコーヒーのおかわりが自由なのもウリですから、しっかりとした量のあるミスドゴハンを半分ほど食べ進め、コーヒーがぬるくなってきてしまったところで温かいコーヒーを注ぎ直してもらう、というのも可。そうするとまた、ミスドゴハンの味わいも変わってくるでしょう。ミスドゴハンの商品展開は、これまで親しまれてきたミスドのシステムを大いに活かした戦略だと考えられるのです」(同)
“おやつ”よりも長い時間をかけながら“食事”を楽しめるミスドゴハンは、ミスドが客に快適な店舗体験を提供するうえで相性がいいようだ。