多様な客層に対応でき、コスパも優秀な新戦略
重盛氏いわく、ミスドゴハンはミスドにとって、新たな客層の獲得にも一役買っているという。
「これはミスドに限った話ではないですが、店舗からすると、お客様の年代や家族構成に合わせたメニューを揃える必要があります。子どもをターゲットにしたメニューばかりでは大人が行きづらくなってしまいますし、その逆ですと、今度は子ども連れでの利用が難しくなってしまいかねません。
そこでミスドゴハンのようなメニューがあれば、子どもには従来のライトな食べ応えのドーナツを食べてもらい、親にはミスドゴハンをゆっくりと味わいながらくつろいでもらう、といったシチュエーションにも対応できます。こういう観点から見ると、今回のミスドの狙いはとても優れているでしょう。
人によってはミスドゴハンの登場によって『ミスドのイメージが変わってしまった』と思うかもしれませんが、『さまざまな客層の方に足を運んでもらいたい』というミスドのメッセージは、着実に伝わっているはずです」(同)
最後に、ミスドゴハンはこれから新たな定番商品として市民権を得られるのかどうか、重盛氏に展望を予想してもらった。
「ミスドゴハンは、今後も定着していくだろうと私は感じています。2月にはマフィン、ホットドッグ、ホットサンド、パスタというラインナップが追加され、これは『お客様にもっと来店機会を増やしていただこう』という、ミスドの意思の表れではないでしょうか。
どこに行っても同じようなものが食べられるなら、お客様はどうしても安い店舗のほうに流れてしまいがちですが、ミスドゴハンの場合は価格相応のものを提供しています。朝11時までは『朝のミスドゴハンSET』として、ドリンクを安くつけることができるのも利点。最近コンビニスイーツのドーナツはテイクアウト向けに変わってきていますから、イートインという舞台で考えると、やはりミスドに軍配が上がるでしょう。
私としては、ミスドにはレベルの低い価格競争には加わらず、お客様に喜ばれるような新しい価値創りに挑んでほしいです」(同)
元来のミスドのイメージから、良い意味で脱却しているミスドゴハン。ファーストフードの新境地を切り拓いていけるのかどうか、要注目だ。
(文=A4studio)