「フラットな解釈で全般的に学べる」ことが教科書の魅力
ひとくちに再学習といっても、新書やビジネス書など、学ぶための本は世の中に数多くある。そのなかで“あえて”教科書や、「もう一度読む」シリーズのような大人向け教科書を選ぶメリットとは、いったいなんだろうか。
「たとえば歴史なら、古代から現代まで一通り網羅してあり、なおかつ妥当とされる解釈でフラットに執筆されたバランスのよさこそが、教科書の強みです。このようなコンセプトでつくられた一般書は思いのほか存在していないので、社会常識として役立つ知識を全般的におさえるのに教科書はうってつけ、というわけです」(同)
確かに一般書の場合は、狭い範囲を深く掘り下げたテーマのものが圧倒的に多い。広く学びたいなら教科書が最適とのことだが、では普通の教科書と大人向けの教科書とでは、我々はどちらを選べばよいのだろうか。
「やはり教科書は学習のためにつくられているものなので、たとえば大学を再受験してみようという方や、歴史検定や観光ガイド検定を受けてみたい方など、アカデミックな目的での再学習をする方には普通の教科書をおすすめします。一方、社会で働いているなかで時事問題に関心が生まれた、改めて歴史を学び直したいという方であれば、ブラッシュアップされた『もう一度読む』シリーズのほうがおすすめです」(同)
グローバル時代の今こそ日本史を学ぶべき、その理由は?
世界は常に目まぐるしく動いている。今を生きる我々は、特に何を勉強するべきなのだろうか。
「グローバル時代の今だからこそ、日本史の勉強をするべきと考えております。というのも、日本人が海外に行った際、現地の人から日本の歴史について尋ねられるケースもあると思いますが、実はしっかり答えられる方はあまり多くはないでしょう。最近刊行した『アナウンサーが読む山川日本近代史』という本であれば、忙しくて本を読む暇もないビジネスパーソンの方でも移動時間に学習ができますので、国際社会における日本人として、日本史を勉強してみてはいかがでしょうか。
また、世界史を身につけるなら、本年4月より刊行を開始した『歴史の転換期』というシリーズをおすすめします。歴史のターニングポイントと考えられる年代を取り上げ、政治家や財界人の日記のようなミクロな資料からグローバルな世界の動きを読み解いていく、という内容ですので読み物としてもおもしろいですし、特にビジネスパーソンであれば仕事のうえで役立つ部分も多い一冊なのではないでしょうか。こちらに関しては『ヒストリスト』というウェブサイト上でご紹介もしておりますので、よろしければそちらも是非ご覧ください」(同)
学生時代は勉強すること自体が苦手でも、大人になってから学習意欲が高まったという人も少なくないだろう。今こそ教科書を手に取って、学生に戻ったようなフレッシュな気持ちで再学習してみてはいかがだろうか。
(文・取材=A4studio)