うつ病と診断されるも、抗うつ薬で症状が悪化
妻には「心配しすぎじゃないの?」と言われましたが、がんの恐怖に耐えきれずに、今まで一度もしたことがない内視鏡での胃がん・大腸がん検診を受診しました。画像は胃・大腸とも鮮やかなピンク色で、胃腸科の医師は「とてもきれいですね。まったく異常はありません」と言うばかり。さすがにエイズ検査までは受けませんでしたが、私は自分の体にいったい何が起こったのか、さっぱりわかりませんでした。
仕事をセーブし、睡眠時間も長く取っているのに症状が改善されない。「もしかしたら、うつ病かもしれない」と考えた私は、インターネットで近くのメンタルクリニックを調べ、検査を受けました。脳のCT、甲状腺検査、心電図などで異常がないことを確認された後、医師から「よく眠れますか?」「生きがいを感じますか?」「性欲はありますか?」などと簡単な問診を受けました。すべて「いいえ」で答えると、医師は「うつですね」と良く通るはっきりした声で言い、抗うつ薬のパキシルが治療薬として処方されました。
人生で初めてうつ病の薬を飲むことに抵抗はありましたが、背に腹はかえられません。何よりも精神的にまいっており、子どもや妻に当たってしまうことも少なくありませんでした。今となっては、「妻はよく耐えてくれていたな」と思います。
しかし、結果的には抗うつ薬はまったく効き目を発揮しませんでした。それどころか、吐き気や腹痛などの副作用が強く、良くなるどころか、むしろ状態は悪化していきました。
抗うつ薬を飲むのを止めたことで、吐き気や腹痛などは治まりました。しかし、体のだるさや動悸、火照りなどは以前と変わることはありません。それでも、「慣れ」というのは恐ろしいもので、体調が悪ければ悪いなりに外出を控えたり仕事をセーブしたりと工夫することによって、騙し騙し日常生活を送れるようにはなっていました。
ただし、体調悪化とともに収入は下降線の一途をたどり、生活するのにギリギリの状況まで追い詰められました。それから実に約1年間、体調はいっこうに良くならず、とはいえすごく悪くなることもなく、約半世紀の人生でもっとも低空飛行の日々を送りました。それほど、つらい毎日だったのです。
「朝立ちなし」で更年期障害の疑いが浮上
原因不明のクマができてから1年3カ月ほど過ぎた冬のある日、もはや日課のように、「原因不明の体調不良」「血液検査 異常なし」「体のだるさ がん」など、思いつくままのキーワードでネット検索をしていました。そして、そのなかの「朝立ち なし」の検索結果に目が釘付けになりました。