ヒートテックユーザーなら、ZOZOHEATにわざわざ乗り換える必要性ナシ?
引き続きZOZOHEATとヒートテックを比較しながら、ZOZOHEATには勝算があるのかどうかを探っていきたい。
「素材に着目しますと、アクリル、レーヨン、ポリウレタンはZOZOHEATもヒートテックも共通しており、機能性インナーであれば、そこはどうしても似通ってくる部分ですね。一方、ヒートテックにはない特徴として、ZOZOHEATにはメリノウールが5%混ざっています。これはニットなどにも使われる素材ですし、“ウール=暖かい”というイメージを抱いている人は多いでしょう。もうひとつ、ZOZOHEATにはテンセルモダールという繊維も採用されており、滑らかな肌触りを実現できています。
また、ZOZOは天然コットン配合の『ZOZOHEAT COTTON』(以下COTTON、1290円)も同時に発売しました。通常のZOZOHEATがツルツルしているのに対し、COTTONはざらっとしていますので、こちらのほうが肌にとってかゆくなりにくいという印象です。
しかし、どちらかというと、天然コットンへのこだわりが強いのは若い世代ではなく、年齢層が上の人々。今度は、COTTONの需要とZOZOのユーザー層は果たしてマッチしているのかという、別の問題が出てくるでしょう。
そして値段ですが、ZOZOHEATは990円で、ヒートテックは1069円。ZOZOHEATのほうが79円安いということで、それが響く人もいるのかもしれませんが、そこまで大きな魅力にはならないのではないでしょうか。ヒートテックは期間限定でもっと値下げすることもありますし、なおさらです」(同)
結論として森田氏は、「ヒートテックがこれだけ浸透しているなか、ZOZOHEATが新しく戦うのは難しい」と語る。
「パッケージはZOZOHEATのほうがオシャレで洗練されていますが、機能と価格のバランスが取れているのは、やはりヒートテックだろうと思います。それにヒートテックは『極暖』『超極暖』と、暖かさによって商品パターンが3段階に分かれており、通常のヒートテックで物足りない人は、そちらに流れるでしょう。たとえZOZOHEATのような対抗商品が登場しても、ヒートテック以上のものを望んでいる人は少ないのではないでしょうか。
ZOZOHEATは襟ぐりが開いた設計になっており、上に着るものを選ばなくてすむのも長所ですが、同様のコンセプトの商品はヒートテックシリーズのなかにも見られます。これまで機能性インナーを試したことのない人ならともかく、ヒートテックを着たことがある人にとっては、ZOZOHEATを劇的に気に入るということはなさそうですね。
仮にZOZOが『○円以上ご注文で配送料無料』といったシステムなら、ZOZOHEATをついでに買うのも悪くないといえますが、現在ZOZOの配送料は一律200円ですので、そういうわけにもいきません。もっとも、ZOZOHEATが失敗に終わったところで、最終的に話題になりさえすれば、ZOZOにとっては一種の成功ということになるのでしょう」(同)
ZOZOといえば今年の正月、前澤友作社長が100万円を100人にプレゼントするという総額1億円のお年玉企画をTwitterで開催し、大きな話題を集めたばかりだ。今回のZOZOHEAT発売ではユニクロが勝負を挑まれたかたちだが、その結果はどうあれ、ZOZOの大胆不敵なチャレンジは今後も続くのだろう。
(文=A4studio)