教員の過酷な勤務実態
教員が忙しすぎて、過労死水準にあるというのは、超過勤務に関するデータからも明らかである。文部科学省が17年春発表した教員勤務実態調査によれば、公立の小学校教員の3割、中学校教員の6割が「過労死ライン」とされる月80時間を超える残業をしている実態が明らかになった。
厚生労働省が昨秋発表した「過労死等防止対策白書」においても、教職員の1日の平均勤務時間は11時間17分だった。さらには、忙しくない時期の1日の勤務時間が「10時間超12時間以下」という教職員が50.2%というように、半数が8時間を大幅に超えていた。朝日新聞で募集したアンケートでも、つぎのような声があがっている(朝日新聞18年6月10日)。
「昨年、新卒で1年間、小学校の講師として担任をしました。長年の夢で、子どもたちとの関わりも非常に楽しくやりがいのある仕事だと感じました。しかし転職を決意したのはやはり労働時間の長さ。勤務は8:10-16:40でそれ以外の時間は残業代も出ませんが、朝早くから夜遅くまで働くのがつらかったです」(元学校の先生 新潟県・20代女性)
「昔から教師になりたかったので、そういう意味では幸せです。しかし一労働者としては、最悪です。(中略)毎日、0:00すぎの帰宅です(後略)」(学校の先生 愛知県・20代その他)
やりがいのある仕事であるとはいえ、私生活を圧迫する、その勤務実態の過酷さに喘ぐ教員が少なくない。非常に傷ましい事例であるが、2014年10月には、福井県の27歳の中学校教諭が過労により自殺した。学習支援員や講師を経て、晴れて正規の教員に採用されてからわずか半年後のことだった。中学時代から毎日欠かさずつけていた日記に、「疲れました。迷わくをかけてしまいすみません」と記し、自ら命を絶ったのだった。4月の入学式の日の日記には、「21名の子どもたちを前にしてワクワクするとともに、不安もひしひしと感じた」と記されていた。だが、それから約1カ月後の5月13日の日記には、
「今、欲しいものはと問われれば、睡眠時間とはっきり言える。寝ると不安だし、でも体は睡眠を求めており、どちらへ進むも地獄だ。いつになったらこの生活も終るのだろう。さすがにこうも続くとけっこうきつくなってきた」
こう悲痛な思いが記されていた。このケースは、6月頃なんらかの精神疾患を発症していたとみなされ、16年9月に労災認定された。勤務時間が非常に長いことが大きかったという。使用していたパソコンなどの記録から、4~6月の時間外業務は、月128~161時間にのぼるとみられている(福井新聞 16年12月13日)。