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魚介類について国や各地の衛生研究所等で継続的に海産物の有機スズ化合物の調査をしています。船底塗料や漁網に使用しなくなった効果もあり、魚介類からの検出量は検出しない、あるいは微量で、格段に少なくなっています。
食品と関連した有機スズ化合物の慢性中毒の事例はありませんが、ブチルスズ化合物製造従事者が味覚の減退を訴え、その他の症状は後頭部の頭痛、鼻血、倦怠感、肩こりなどであったことが報告されています。
東京都健康安全研究センターは平成19~26年度の間に東京都内で流通していた輸入水産物(魚介類180検体)について有機スズ化合物の含有量調査を行っています。その結果、TBTは魚介類180検体中47検体から0.01~0.03 ppm、TPTは180検体中18検体から0.01~0.12 ppmであり、通常の摂取量では安全なレベルであったと結論付けています(注2、3)。
北海道衛生研究所は平成11~26年度に魚介類中の有機スズ化合物(ジブチルスズ、トリブチルスズ、トリフェニルスズ)調査をしています。初年度から安全性に問題がなく、さらに徐々に減少しているとの報告をしています(注4)。その他、各地の衛生研究所で実態調査を行っていますが、特に問題となる結果はみられません。
また、有機スズ化合物はプラスチックの安定剤や樹脂合成の触媒などに利用されていますが、人に対して特に問題になっていません。日本でも多くの研究者が研究対象とした環境ホルモンという言葉も、あまり聞かれなくなりました。
(文=西島基弘/実践女子大学名誉教授)
※後編に続く
注1)乳幼児における亜鉛と銅の重要性
注2)東京衛研年報, 52, 194-200, 2001
注3)東京健安研セ年報 66, 217-222, 2015
注4)道衛研所報 65, 79-81,2015
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