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睡眠中の「歯ぎしり」はトンデモなく危険…体にさまざまな不調、意外な原因とは?

文=真島加代/清談社
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 また、歯ぎしりの原因に「噛み合わせの悪さ」を挙げる医師もいるが、「歯ぎしり改善のために歯列矯正をするのはリスクが高い」と新谷医師は指摘する。

「近年、噛み合わせの悪さと歯ぎしりは関係ないという見解も出てきています。実際に、歯列矯正をして歯ぎしりが悪化したという人もいる。長い時間と費用をかけて矯正しても、悪化してしまえば元も子もありません。まずは、自分がTCHか否かを確かめましょう」(同)

危険な歯ぎしりの改善法

 歯ぎしりや食いしばりを改善するには日々の心がけが重要、と新谷氏は話す。

「パソコンやスマホの操作中に前傾姿勢になると上下の歯が接触しやすくなるので、THCの人は意識して歯の間に2~3ミリの隙間を空けるようにしてください。ずっと歯を当てないように意識するのが難しい場合は、『口を開ける』などのメモをパソコンのモニターに貼っておくと、意識付けになりますよ」(同)

 また、エラ(咬筋)とこめかみ(側頭筋)の筋肉の緊張をゆるめるストレッチをして、歯ぎしり・食いしばりの力を弱める方法も効果的だ。

「咬筋のストレッチはとても簡単です。まず、口を全開にして5秒待ちます。開けた状態から下あごを前に出してさらに5秒。あごを出すときは、志村けんさんのギャグ『アイ~ン』をイメージしてください。その後、ゆるく口を閉じてエラとこめかみ周辺を指先で円を描くようにもみほぐしましょう」(同)

 これらのセルフケアのほかに、歯科医の治療を受ける方法もある。代表的なのはマウスピースをはめて眠る治療法だが、「マウスピース選びには注意が必要」と新谷氏。

「マウスピースはプラスチックなどの硬い素材のものを選んでください。硬くて滑る素材なら、寝ている間も歯の隙間を維持できます。しかし、やわらかい素材のマウスピースは歯と歯の滑り止めの役割を果たして歯ぎしりの力がさらに強くなり、症状を悪化させるので絶対にNGです」(同)

 そのほか、顔にボトックスを注射して筋肉のこわばりをゆるめる「ボトックス注射」も、歯ぎしりや食いしばりの治療に役立つケースがあるという。

「ボトックス注射は自由診療なので、歯科クリニックでも5万円以上かかる可能性があります。継続的に治療を受けるのは難しいと思うので、まずはセルフケアで歯ぎしり改善に努めることをおすすめします」(同)

 まさに歯の悲鳴ともいうべき「歯ぎしり」。自分の歯を長く健康に保つためにも、悪癖を絶つことが先決のようだ。
(文=真島加代/清談社)

●新谷悟(しんたに・さとる)
1961年、香川県生まれ。祖母を舌癌で亡くした経験から口腔外科医師を志し、岡山大学歯学部へ進学。その後、口腔外科治療や口腔がんの研究に携わり、2010年に昭和大学口腔がんセンターセンター長に就任し、2011年に東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックを開設。

●「東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニック

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