“青汁王子”こと起業家で人気YouTuberの三崎優太氏が3月21日、格闘技大会「BreakingDown」で“会津伝説の喧嘩屋”こと久保田覚選手と対戦し、注目を浴びた。その試合で久保田選手からのパンチを受け、眼窩底骨折と鼻骨骨折の重傷を負い、手術を行った。
当初は大学病院での治療を検討したが、日程の調整がつかないことと保険の適用上、大学病院での手術では眼窩底骨折と鼻骨骨折の同時手術が難しいことから、東京美容外科・麻生泰医師のコーディネイトで自由診療による手術を受けた。手術当日は、YouTubeで手術の様子を麻生医師らの解説とともに生配信し、日本の医療においても新しい風を吹き込むものとなったに違いない。
この手術の直後、三崎氏に電話で話を聞いた。
想像以上の大手術
三崎氏に取材を事前に申し込んでいたものの、配信された動画を見てもわかるが想像以上の大手術だったため、しばらく取材は難しいだろうと思っていた。だが、手術翌日の夕方、三崎氏から連絡があった。
「術後にご連絡できず、申し訳ありませんでした。まだ腫れているため話しづらく、聞き取りにくいかもしれませんが、取材をお受けできます」
術後の腫れや痛みがあるなか、誠意溢れる言葉に恐縮しながら取材を進めることにした。
「本当に思っていた以上の大きな手術でした。昨日は19時から配信する予定でしたが、できる状態ではありませんでした。しかし手術は無事、成功に終わり、ホッとしています」
BreakingDownでは、残り30秒で確実に三崎氏のパンチが久保田氏に入った場面もあったが、惜しくも負け試合となった。試合中、三崎氏の顔は鼻血と目の周りのアザで痛々しいものだった。
「久保田選手からのパンチを顔に受けた瞬間、目に関しては『折れた 』と感じました。その瞬間は目に強い痛みがありましたが、その後は試合が終わってもしばらくは痛みを感じませんでした」
試合中はアドレナリンが分泌されていたことからあまり痛みを感じず、骨折を自覚しながらも全力で戦ったようだ。試合が終わり、負けた悔しさがこみ上げてくるとともに痛みが強くなっていったという。
エキスパートなドクターチーム結成
大学病院での手術では今回の2つの手術を同時に行えないことと、術後4~5日の入院を要することから、親交のある麻生医師に相談し、耳鼻科と形成外科のエキスパートによるドクターチームが結成された。
三崎氏の怪我は、眼球が収まる頭蓋骨の中の眼窩(左右の窪んでいる場所)を構成する骨を骨折した眼窩底骨折であり、その状態について執刀医の山本崇弘医師は配信のなかで、次のように説明している。
「眼球に圧がかかったことによって、眼窩底という目の窪みの床の部分が結構な範囲で抜け落ちてしまい、眼球の内容物(眼球を動かす筋肉や神経、血管や脂肪組織など)が眼窩の奥に落ち込んだ状態になり、目が窪んでしまいます。三崎さんは現状、目の窪みがある状態なので、眼窩の床の部分の修復を行います」
耳鼻科の手術については、試合で負った鼻骨骨折はわずかであったようだが、以前から鼻中隔湾曲(鼻の軟膏の曲がり)があり、全身麻酔の手術を行うため、この機会に鼻中隔湾曲の手術も行うことになった。また、鼻中隔湾曲の手術を同時に行うことには大きなメリットがあったと、山本医師が配信で解説している。
「耳鼻科の先生が鼻中隔、鼻の軟骨の曲がりを修正する手術を(内視鏡を用いて)行っていますので、同時に内視鏡によって鼻の中から眼窩の骨折の裏側を見ることができ、目の修復がより正確に安全にできるため、耳鼻科と形成外科のコラボの手術になっています」
三崎氏が「思った以上に大きな手術」と漏らしていたが、事実、大きな手術であり、一般的に失敗が起きる可能性もある手術である。配信中に失明の可能性について問われると、麻生医師と山本医師が一斉に答えた。
「失敗しません」
BreakingDownに出場したことについて三崎氏は、「代償が大きすぎた」との声がSNSなどでは上がっているが、まったく後悔はないという。
「勝ちにいった試合に負けたことで非常に悔しいと感じましたが、怪我をしたことを含め後悔はありません。怪我などの危険も事前に納得し、サインをして挑んだ試合ですし、挑戦してよかったと思っています」
今回の手術では、アンチエイジングの糸リフトも行い、仕上がりが楽しみだという。
「糸リフトはしましたが、現在は、まだ目と鼻の手術による出血や鼻水、腫れもあり、糸リフトによる変化がどうなるかはまったくわからない状態です。2週間程度で治るといわれています」
試合後にはリベンジしたいという気持ちを漏らしていたが、今回、眼窩底骨折の手術をした以上、ドクターストップがかかるだろう。
3月29日に33歳の誕生日を迎え、今後も挑戦を続けると公言する三崎氏。さらなる活躍が楽しみだ。
(文=道明寺美清/ライター)