近年のドラッグストア業界では、プライベートブランド(PB)商品を展開しているチェーン店も多く、日用品や食品、衣類、ペットフードなど販売されているものの種類が格段に増えた。なかでもトイレットペーパーやティッシュペーパーもドラッグストア独自の品物があり、注目を集めている。
だが、その使い心地や価格などは各社によって微妙に異なるので、結局どれがお得なのかわからないという人も多いだろう。そこで今回はウエルシア、ツルハホールディングス、マツモトキヨシのPBのトイレットペーパーやティッシュペーパーを比較していきたい。なお、比較する企業は下記4ブランドとし、トイレットペーパーはダブルタイプ、ティッシュペーパーは一箱200組前後を目安とした。
・ウエルシア/Welflower、くらしWelcia
・ツルハホールディングス/くらしリズム
・マツモトキヨシ/matsukiyo
本記事の最後では、比較した結果をまとめ、どのPBが最もコスパ良かったかを決めているのでぜひ最後までお読みいただきたい。
ウエルシア「ウエルフラワー ダブル 30M×12ロール入」/328円
まず紹介するのが、ウエルシアの「ウエルフラワー ダブル 30M×12ロール入」だ。
古紙原料100%を使用した再生紙トイレットペーパーであり、FSC(森林管理協議会)認証のリサイクル製品となっている。100%再生紙トイレットペーパーメーカーとして知られる鶴見製紙が製造しているので、いっそう地球環境に配慮した製品ともいえるだろう。またペーパー自体に凹凸を付けてボリュームアップさせたエンボス加工を施しているので、肌触りが良いのもポイントだ。
実際に触っても、再生紙特有のザラザラとした触感はなく、きめ細かい滑らかな繊維となっているので扱いやすい。ペーパーを細かく見ても、粗い粒子のようなものはなく、清潔な印象を受けた。ミシン目の切れ目も切りやすく、特に不便さは感じられない。
紙質もソフトなので、特に肌を傷つけることがない。水を吸収しやすい性質になっていることから、水分を含んだまま洗えるのは利点だろう。さすがに高級品のようなふんわり感、香りはないものの普段使いするのであれば文句なしといえる出来だった。
ウエルシア「ネピアとつくったたっぷりティッシュ」/382円
次に、同じくウエルシアの「ネピアとつくったたっぷりティッシュ」を紹介。
ティッシュペーパー業界のなかでも一際知名度の高い王子ネピアが製造した本品。まだ一度も紙にされたことがないフレッシュパルプを使用しており、220組×5Pと今回紹介する製品のなかだと最も大容量なのも評価点だ。
手触りはゴワゴワしている感じはないものの、若干固め。しかし、使い心地が悪いかといわれると、全くそんなことはなく、優しく鼻をホールドしてくれる。吸水性も悪くなく、しっかりと吸着してくれるので、鼻をかんだときも安心だ。枚数も多く、すぐに使いきる心配がないので、長く使えるのもメリットのひとつだろう。
ツルハホールディングス「くらしリズム リリナ トイレットロール ダブル 12ロール」/327円
続いて、ツルハホールディングスの「くらしリズム リリナ トイレットロール ダブル 12ロール」についてレビューしていく。
花と葉っぱの柄が印刷されたファンシーなデザインと花の香りが付いた本商品は、売上の一部を乳がん患者やその家族の悩みに寄り添う「がん相談ホットライン」の実施に役立てているという。上質な古紙のリサイクル品のため、不純物が入っていなさそうに見える。ちなみに本品は丸富製紙製。全国シェア12%と業界トップクラスの生産量を誇る企業であり、品質の高さはお墨付きである。
しかし触ってみると、湿ると簡単に破けてしまいそうな仕上がり。ただこれは吸水性が高いことを意味するので、水分を程良く吸い取ってくれて使いやすいという面もある。心配していた耐久性の部分も、こするうちにボロボロと崩れ落ちることなく、形を留めていたので最後まできちんと拭けた。
また香り付きなので、トイレ後の匂いもさほど気にならない。とはいえ、やはり湿り気には弱いと思うので、長期保存する場合は、湿気の少ない場所に置くことを推奨する。
ツルハホールディングス「くらしリズム ピュアパルプティシュ 200組×5箱パック」/327円
ツルハのペーパー製品は多いが、今回は「くらしリズム ピュアパルプティシュ 200組×5箱パック」を紹介したい。
「エルモアティッシュ」で知られるカミ商事が製造しており、再生していないパルプを使用しているので、肌触りの良さが特徴的。デザインもシックでシンプルなものであり、部屋に置きやすいだろう。
1枚1枚の厚さは、他社製品に比べて心なしか薄い気もするが、繊維はしっかりとしているので破けづらい。ソフトな質感であることから、肌にストレスなく使用でき、肌荒れしにくそうだと感じた。価格も3社のなかで最も安いので、コストパフォーマンスの高さは随一といえるだろう。
ただ気になったのは、ティッシュが抜き取りづらいことだ。寸法が197mm×213㎜と他社よりも紙1枚が大きい、かつティッシュボックスのサイズも変わらないので、ぎっしりと詰められたことがわかる。そのため、構造的に取りづらくなっているので、注意したいところである。
マツモトキヨシ「matsukiyo ラ・ミルコトイレット ダブル 30m 12R」/328円
次にマツモトキヨシの「matsukiyo ラ・ミルコトイレット ダブル 30m 12R」を紹介しよう。
牛乳パック、良質古紙をブレンドして製造された本品は、コアレックス製。同社は紙自体の白さと柔らかさに関しては“最高クラス”と謳われており、オリジナルのエンボス加工も施されているそうだ。
しかし、本品をよく確認してみるとペーパーの側面が少々黒ずんでおり、紙質自体もガサガサしているのがマイナス点。そして肝心の触り心地だが、紙自体が脆く破れがちなので、水分を含むとすぐに破れてしまう。ダブルで長持ちする製品とはいえ、使い続けるとなるとストレスになりそうな使い心地だった。
しかも、価格も3社のなかで最も高いので、正直なところ買うメリットはさほどないと思われる。他社と比べて巻き方は丁寧だが、見た目が悪いのでそこまで綺麗さは感じられなかった。
マツモトキヨシ「matsukiyo ソフティモティシュー 200W5P」/349円
最後は「matsukiyo ソフティモティシュー 200W5P」を紹介していく。
圧倒的シェア率を誇るティッシュで知られる「エリエール」を作る大王製紙製。ティッシュ以外にも、ベビー用品や生理用品まで幅広くカバーする製品がラインナップされていることでも有名なメーカーだ。
公式サイトで「お肌にやさしい肌ざわり」と銘打たれているだけあって、ふんわりとした柔らかさが感じられる仕上がり。表面もサラサラとしているので手触りも良く、心地良く鼻をかめそうである。だが、どこかカサカサと乾燥した紙質でもあり、乾いた手で触ると、取りづらいかもしれない。ハンドクリームを塗るなど対策してから対応したほうがスムーズに取り出せるだろう。
価格は349円と3社のなかでは中間の金額なので、普段使いするのであれば、そこまでリーズナブルではない。ただ、鼻の噛み心地や触り具合は金額に申し分ない仕上がりだったので、近所にマツキヨがある方であれば、十分普段使いしてもよいクオリティだと思った。
トイレットペーパーはウエルシア、ティッシュはツルハ
それでは3社のレビューを含めて、優勝のドラッグストアを決めていこう。
まずトイレットペーパーだが、肌触り、使い心地ともにウエルシアに軍配が上がった。サラサラとした紙質に吸水性に富んだ出来なので、シンプルに使いやすいし、特に不便さを感じることがなかった。また柔らかさも文句のない仕上がりであり、肌を傷つけることなく使用できるのも敏感肌の方ならば嬉しいポイントかもしれない。
ツルハは耐久性が心配であり、マツキヨもマイナスポイントを感じるところがあったので後れを取った結果となった。
次にティッシュペーパーだが、こちらは甲乙つけがたい結果となっている。ウエルシアは、紙質が固い仕上がりだったものの、ホールドする能力は抜群であり、安心して鼻をかむことができ満足感は高い。ツルハは、やや取りづらい印象はあるものの、肌触り自体は優しいもので手軽に使用しやすい。また、3社のなかで価格が最も安かったのも評価したいところ。
マツキヨは、そんなツルハ以上により柔らかい仕上がりとなっており、紙質の好み関係なくどんな方でも使えそうな製品だった。しかし、3社で比較すると価格が中途半端な金額だったので、第一候補にするかといわれると微妙だ。
3社それぞれにメリット、デメリットがあったが、価格が安めで1枚当たりのサイズも大きいツルハが一番お得な製品だと感じた。枚数だけで言うと、最もコスパが優れているのはウエルシアだが、使い心地を考慮するとツルハが上回ると言えるので、今回はツルハのティッシュをおすすめにしたい。
今回はトイレットペーパー部門がウエルシア、ティッシュ部門がツルハという結果となった。もちろん個々人で好みや評価点は異なると思うので、気になる方はぜひ自分で購入して試してみてほしい。
(取材・文=文月/A4studio)
※情報はすべて2月13日時点のものです。
※「ウエルフラワー ダブル 30M×12ロール入」は、8個セットの価格を基に四捨五入して算出しています。
※店舗によって価格が異なる場合もあります。予めご了承ください。