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2023.05.05 00:21
2014.02.05 00:10
鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第16回
脱原発で“失うもの”とは~莫大な国民資産で大量の化石燃料を燃やす地球温暖化サイクル
これは言い換えれば過去、貿易立国で積み上げてきた累積の貿易黒字という莫大な国民資産を、LNGの購入代金として使いきっていくサイクルが始まっていることを示している。
そしてお金の問題だけではない。原子力発電を停止して、その代わりの電力需要を、化石燃料を大量に燃やしてまかなうサイクルが確立されたことで、日本は京都議定書時代に目指していた温室効果ガス削減のリーダーとなる目標を取り下げることになり、国として逆に地球温暖化推進の舵を切っているのである。
物事は何かを得ようとすれば、何かを失うものである。
われわれ日本人は、脱原発を得ようとして、結果として過去の貿易黒字という財産と、地球温暖化を防止できたかもしれないという未来を失ったのだ。
仮に同じ脱原発でも、快適な生活を失うことを決めていれば、脱原発と地球温暖化防止は両立できたかもしれない。11年に起きたような耐え難いほどの政府からの節電要求と輪番停電という事態よりもさらに進んだ節電を受け入れれば、このふたつは両立できた可能性はないわけではない。しかし、もう誰もあのような経験はしたくないとうのが本音だろうし、産業レベルでみればあのような節電を企業に強いることは、経済停滞をもたらすことになる。
繰り返しになるが、何かを得ようとするものは何かを失うことになる。われわれは脱原発を選ぶことで、温室効果ガスを大量に生み出すことを選び、温暖化を止めることができたかもしれない未来を失ったことを認識する必要があるのだ。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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