7月上旬に到来した台風8号は、沖縄、九州地方に、とても大きな爪痕を残しました。本州も間もなく梅雨明けとなり、同時に本格的な台風シーズンに入りますが、備えは大丈夫でしょうか?
台風の建物被害をカバーするのは、「火災保険」です。
火災保険は火事が起きた場合の補償というイメージが強いようですが、実は、落雷や風災、水災などの被害も補償してくれるので、補償範囲は手厚いのです。
ただし、火災や落雷は基本補償ですが、風災や水災は特約扱いになります。
「入っているつもりで補償が付いていなかった」とあわてることがないように、火災保険の補償内容とその金額を今のうちに確認しておきましょう。
そして、補償内容を考える時に気を付けたいのが水災です。
火災保険の特約に風災や落雷の補償を付けても火災保険金額は大きく変わりませんし、この2つは基本補償になっているところが多いのですが、水災補償の特約は、保険料が大きく変わります。
保険会社によってその差はありますが、例えば、建物評価額2000万円の木造一戸建ての保険として、35年間一括契約で保険に加入した場合、水災補償の有無で約25万円の差ができます。
1年当たりに直すと約7000円ですから、それを安心と引き換えに支払う金額として安いと感じるか、もったいないと感じるかは、人それぞれ異なります。
その時の判断基準となるのは「洪水ハザードマップ」です。
水災で保険金が受け取れるのは、洪水や土砂崩れ、高潮などで床上浸水したとき、または地盤から45㎝以上の浸水による被害を受けた場合です。住んでいる地域の洪水ハザードマップを調べた上で、加入の是非を検討するようにしましょう。
なお、火災保険は生命保険と違って存在が薄いようで、入っていることで安心するのでしょうか、証券を紛失してしまう人がたくさんいらっしゃいます。
証券は手数料もかからずに再発行してもらえますから、手元に保険証券がない人は、今のうちに再発行してもらい、保険の中身を確認しておきましょう。保険証券を見てもわからないことがある場合は、保険会社に電話をかけて説明を受けておくことをお勧めします。
災害の後であわてても遅いので、今、もしもの時を想定して必要と思われる補償を検討しておきましょう。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)