小胸ブーム到来で、胸を小さく見せる女性が急増中!?
まずマーケットを考えるうえで重要なのは、1と2だ。
大手下着メーカー・トリンプの社内データによると、1980年代はA、Bカップが女性の84%を占めていた。だが、いまやA、Bカップは38%と3人に1人ちょっと、Dカップ以上が34%にのぼる。日本の女性は、時代とともに確実に「豊乳」に向かっているのだ。
では、胸の大きい女性が皆それを誇りに思うか、といえばそうではない。
実は、20~40代女性で「バストを小さく見せたい」と考える女性は、なんと11%もいる(09年 ワコール「ブラジャーに求めること」調査)。マスではないが、まだ市場として荒らされていない「ブルーオーシャン(未開拓)市場」であることを考えると、それなりにオイシイ市場だと言えよう。
いち早く目をつけたワコール
こうした女ゴコロにいち早く目をつけたのが、大手下着メーカーのワコール。
きっかけは、ある女性デザイナーの提案だった。
「胸が大きいコンプレックスをなくす、胸を小さく見せるブラがあれば」
彼女の声に端を発し、10年4月、その名もズバリ「小さく見せるブラ」と銘打って試験的にインターネット通販を始めたのだ。
すると、2000枚がわずか1週間で完売。テレビCMなどマス広告は一切行わなかったのに、5か月間の販売計画(目標)を1週間で達成してしまった。
予想外の反響を受け、11年には第2弾、第3弾の販売を展開。商品を一部改良(ブラの面積を大きくして胸全体を覆うことで着用時の安定感をアップ、など)したほか、販路も百貨店やスーパーにまで広げた。すると、リアル&ネット上のクチコミで着実に人気が拡大、12年春には“10万枚”の大台に達した、とのこと。
仮に1人の女性が平均2枚ずつ買い上げているとすると、単純計算で5万人の女性が「実際より胸を小さく見せている」ことになる。
これまで私も、小胸ブラを愛用する女性3人に取材したが、彼女たちは口々に
「ピタッとしたTシャツを着ても、エロく見えないからいい」
「ヘンに男子を刺激しないから、ラクなんです」
と笑顔を見せた。