(やなせひさし著/宝島社)
誘導先のサクラサイトでは、サクラとのコミュニケーションを続けさせるために、有料のメールサービスなどを利用させられる。これらを使用すると、高額の利用料を請求されるケースもあるという。
さらにサクラが芸能人を騙ることもある。SNSサイトでタレントを騙るサクラと知り合い、サクラサイトに誘導され、260万円のサービス利用料を取られた事例が報告されている。
もともと、サクラ行為というのは出会い系サービスで昔から行われていた。かつてのテレクラでも、女性のアルバイトを雇ってサクラとして男性客と話をさせ、利用者を増やす行為が行われたりした。その後、出会い系サービスはネットに舞台を移した。電話と違って性別が判断できない出会い系サイトでは、男性のアルバイトを雇うことも珍しくない。
とはいえ、出会い系サービスでのサクラ行為は、あくまでも利用者を増やすための「呼び水」として行われてきたはずだった。ところが、近年の出会い系サイトでは、サクラ行為がエスカレートし、「決して出会えない出会い系サイト」が問題化していく。
2010年には、東京都の出会い系サイト運営会社関係者が詐欺容疑で逮捕されている。出会い系サイトを謳いながらも、実際にはサクラとしか交流できないようになっており、出会いが発生することは不可能になっていたという。運営会社は、複数の出会い系サイトで約140万人の会員を集め、約20億円の売上があった。サクラはすべて従業員が演じていて、約12万種類の「女性客」が創り出されていたという。
サクラサイトは「決して出会えない出会い系サイト」の究極で、被害者からいかにお金を騙し取るかということに特化されている。手口も色恋や「芸能人」との出会いだけではない。「お金をあげます」という名目のサクラ行為も起きている。