逆に弱点は連写性だ。レンズカメラはスマホとWi-Fiで接続して撮影画像を転送するのだが、この転送処理に秒単位で時間がかかる。そのため、普通のコンデジのような連写ができないのだ。これは実際に使ってみると、意外にストレスになる。
このようにレンズカメラも万能ではない。そして、そのサイズも意外に大きい。QX10のほうがコンパクトであるが、コンデジを持ち歩いたほうがいいかも……という気になるくらいのサイズなのだ。そもそもカメラ1台の機能を詰め込んでいるのだから無理もない。
そのため、単純に写真を撮影したいユーザーにとっては、レンズカメラよりもコンデジを持ち歩いたほうがいいケースがありそうだ。
●スマホのカメラ機能競争は、どこに向かうのか?
結局のところ、ソニーのレンズカメラの登場によっても、スマホのカメラ機能はもう高画質にならなくていいという状況にはなりそうもない。今後も高画質化の努力は続くだろうし、光学ズームレンズが搭載しにくいという問題も、いろいろな解決法は出てきそうだ。
光学ズームを使用しなくても、最近では超解像技術を搭載することで、3倍程度まではあまり画質の低下なしにズームアップが可能になってきた。標準で3倍程度のズームがあれば、一般的な用途においては、かなりの部分がカバーできる。スマホのカメラの実用性が飛躍的に増すことになる。
この技術を搭載しているスマホというのは、ソニーモバイルのXperia Z1。光学27mmのレンズを搭載しているため、超解像3倍ズームで27~81mmの撮影が可能になる。
ソニーはレンズカメラという新ジャンルの製品とともに、スマホ自体の進化の方向性をも提案していることになる。今後は、この種のデジタルズームの高画質化が他のメーカーのスマホ端末にも広がり、一般的になっていくのではないかと考えられる。
また、技術進化によって光学ズームをコンパクト化して搭載するという可能性もあるが、これはデジタルズームと比較すると進化に時間がかかるかもしれない。
(文=一条真人/フリーライター).