音喜多氏の名も取り沙汰
自民党内では二階俊博幹事長が小池押しとされる。しかし、官邸は安倍晋三首相だけでなく、菅義偉官房長官が大の小池嫌いで、菅氏は東京都連の独自候補擁立を後押ししている。
「昨年の税制改正では、地方法人2税をめぐる都市部と地方の格差是正という名目の下、東京都が1兆円近い大幅減収にされた。それで都と自民党都連が官邸に駆け込み、国と都の協議会設置が決まったのですが、官邸と話したのは小池知事ではなく副知事。小池知事は完全に蚊帳の外でした」(自民党都連関係者)
もう一人、冗談のような話ではあるが、参院選を経て都知事候補に急浮上するといわれているのが音喜多氏だ。元都議なので都政に土地勘があり、今年4月の統一地方選で東京都北区長を狙ったほど「行政トップ」志向は強い。音喜多氏は参院選で52万6575票を獲得した。
「官邸は維新との関係を大事にしている。候補者が決まらない時には、自民と維新が手を携えることもあり得るでしょう。音喜多氏は小池知事と都議時代に袂を分かった。3年前の都知事選では小池応援の最前列にいたものの、小池氏の政治姿勢に疑問があるとして、小池氏が立ち上げた地域政党、都民ファーストの会を真っ先に離党した。そうした経緯も含め、小池氏と対比できる」(官邸事情通)
野党は東京に足場のある立憲民主党中心に候補者を擁立すると見られるが、名前が挙がるのはやはり蓮舫参院議員だ。3年前の参院選で丸川氏に匹敵する112万3145票を獲得している。
自民党東京都連は参院選前の6月に、鴨下一郎都連会長をトップとする「都知事選候補者選考委員会」を立ち上げた。二階幹事長が何と言おうが、絶対に独自候補でいくという強い意思表示を見せている。
現職参院議員の名前しか挙がってこないところに、候補者選考難航の色が見えなくもないが、参院選が終わり、いよいよ都知事選に向けての号砲が鳴った。
(文=編集部)