10月初旬、取材先との会合があり東京・銀座に出向いた。夕刻の6時半頃だったが、銀座4丁目の交差点から数十メートル離れた中央通りに、観光バスが4、5台停車していた。見ていると、中から中国人らしき団体客がゾロゾロと降りてきた。その人数は、あっという間に歩道を埋め尽くした。圧巻である。
昨今、インバウンド(訪日外国人客)という言葉は日常用語になった。それ以上に中国人による“爆買い”という言葉がメディアで踊り、今年の流行語大賞に選ばれそうな勢いだ。筆者が中国人観光客の団体を目撃した時、すでに経済面では「中国の景気減速」がいわれていた。しかし、彼らの様子からは、まったくといってよいほど、そんな雰囲気を感じることはなかった。
JNTO(日本政府観光局)が10月21日に発表したところによると、9月の訪日外国人客数は前年同月比46.7%増の161万2000人で、9月としては過去最高だった。1月から9月までの累計人数は1448万人となり、1年間の過去最高だった昨年の1341万人をすでに超えた。国・地域別の上位3カ国は、以下の通りとなっている。
・中国:49万1200人(9月)、383万8100人(1-9月累計)
・台湾:30万2900人、277万1100人
・韓国:30万1700人、285万5800人
これは、欧米諸国でもっとも訪日が多い米国の9月が7万6300人(1-9月累計が75万8400人)と比較すると、中国からは5倍以上の人が訪れていることになる。
国土交通省観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、中国人1人が1回あたりの旅行に26万7419円を使い、このうち買物に14万1554円を使っている。ちなみに、米国人は旅費総額が18万360円で買物代は2万7227円。1人が1泊あたりに使う金額は中国人が4万3844円(うち買物代2万3208円)に対して、米国人は1万8424円(同2781円)と、いかに中国人が爆買いをしているかがわかろうというものだ。
どこに行っているのか?
では、訪日外国人はどこに行って何をしているのか。何かデータはないかと探してみると、東京都が9月に公表した「平成26年度国別外国人旅行者行動特性調査報告書」(1万3321サンプルの集計結果)を見つけた。「訪都中に行った活動(複数回答)」という項目があり、1位「日本食を楽しむ」(89.0%)、2位「ショッピング」(78.6%)、3位「街歩き」(75.1%)が圧倒的。
では、どこに行っているのかというと、意外にも1位は「新宿・大久保」で55.4%、2位が「銀座」で50.0%、3位が「浅草」の49.2%という順だった。