Gatewayは月上空で新たに建設するISSで、月面の有人および無人探査の支援基地として運用され、将来的には火星有人探査の準備やテスト、そして出発点となる計画です。さらに、Gatewayには研究施設ユニットも建設され、地球磁場や引力の非常に弱い特有の位置・環境は地球の影響を受けることなく、より遠い宇宙を観測する重要な科学的発見のためのプラットフォームともなります。
Gatewayを通じて行う宇宙探査は高度な技術の発展を促し、新たな経済領域である新興宇宙経済までも生み出すと同時に、地球上の人々にとっても、宇宙探査による社会的な恩恵を継続的にもたらすものと期待されています。
今回の共同声明に加わった日本を含めた各国は今後、このパートナーシップに基づき、月面有人着陸を含め、持続的な探査を可能とするためのGatewayの開発に向けた努力をしていくこととなります。米航空宇宙局(NASA)はGatewayの中心的なシステムの開発を行い、日本のJAXAや欧州宇宙機関(ESA)は居住施設や無人宇宙貨物船による貢献、カナダ宇宙機関(CSA)は外部ロボットインターフェースなどの開発、ロシアは有人往還機の開発など、基本的にはISSにおける枠組みがそのまま適用されるものと思われます。
最近、米国ではスペースX社が火星行きの有人機を建造して公開するなど、地球外へ人類が進出する動きが加速しています。想像をはるかに超える過酷な宇宙空間は、日本の素材産業の力が生かせる新たな領域です。すでに、耐熱フィルムや炭素繊維、宇宙空間でのドッキング技術、宇宙帆船技術など、人工衛星や探査機には日本の素材・技術が多く使用されています。日本の高度な技術の応用分野として、月や火星がより一層重要な領域になっていくことでしょう。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)
【参考資料】
「Cislunar and Gateway Overview」(NASA)
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