「食料」の物価水準が高いのは石川県と福井県
10大費目の物価の高低を都道府県別でチェックしてみよう。
「食料」は意外なことに石川県、福井県がトップで103.4。「住居」は東京都の133.0。「光熱・水道」は冬場の燃料代がかかる北海道で114.9。「家具・家事用品」は宮城県が105.2。「被服及び履物」は栃木県で117.4。「保健医療」は富山県の102.2。越中富山は薬の県。物価との因果関係を知りたいところだ。「交通・通信」は東京で104.7。「教育」は京都府で116.0。大学の街・京都市を抱えていることも影響しているのだろうか。「教養娯楽」は神奈川県で105.5。「諸雑費」(身の回り品など)は香川県の102.8となっている。
もっとも安い県は次の通り。
・食料:長野県 94.4
・住居:愛媛県 82.7
・光熱・水道:群馬県 91.3
・家具・家事用品:山形県 93.4
・被服及び履物:鹿児島県 89.9
・保健医療:大分県 96.5
・交通・通信:岡山県 96.2
・教育 群馬県 84.5
・教養娯楽 佐賀県 91.8
・諸雑費 鹿児島県 93.5
10大費目の最安水準は6費目が西日本の県となった。総合最下位のの宮崎県を合わせると、物価は「東高西低」の傾向となっている。
前回の消費増税前と比べ、地域差はどう変化したのか
消費税が5%から8%に引き上げられたのは、第2次安倍内閣時代の2014年4月だった。13年の小売物価統計調査と18年の結果を比べてみると、いくつか興味深い結果が出た。
13年の物価水準の高いのは東京都、神奈川県、埼玉県、兵庫県、京都府の順。兵庫県以外の4都府県は、18年と同じ顔触れだ。なお、兵庫県は18年は6位だ。注目は千葉県で、13年は11位だったが、18年は5位。ベスト10圏外から一気に物価上位県になってしまった。大幅な上昇という点では、13年の40位から19位へと21も順位を上げた富山県が変動幅で最大となる。徳島県も23位から12位へと大幅にアップした。逆に大きく順位を下げたのは愛知県(19位から37位)、岡山県(17位から33位)、茨城県(23位から38位)、栃木県(20位から35位)である。
大きな傾向として、物価と人口には正の相関関係がある(18年は相関係数が0.60)。人口が多い地域ほど物価水準が高めということだ。人口減少で市場が縮小するなか、この先、生涯賃金が増えるとはとても思えない。年金給付額は間違いなく減っていくだろう。消費税は今後も増税される可能性が高い。
それでも物価の高い大都市にしがみつくのか。それとも、年収は多少減っても物価の安い地方に移住するのか。もちろん、物価だけでは決められない話だが、そんな選択を迫られる時が近づいているのかもしれない。
(文=山田稔/ジャーナリスト)