ビジネスジャーナル > 社会ニュース > ツタヤ図書館への不信高まり訴訟へ  > 2ページ目
NEW

ツタヤ図書館、契約ずさんとして住民が訴訟!市が住民の情報開示要求を拒否!深まる不信

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

 従来の管理委託制度が、民間事業者との契約によって具体的な業務の一部を委託するものであったのに対して、指定管理者制度は、指定を受けた業者に管理権限そのものを委任する行政処分の一種で、請負契約とは本質的に異なる。つまり、公共施設の運営全般に必要なことについて、指定した民間企業にほぼ全権を委任してしまうのが大きな特徴で、「丸投げ」に近い。

 指定管理者制度の問題点は、以下の5点である。

(1)公募は必須でなく、トップダウンで決めやすい

 指定管理者の選定は、原則として公募によって行われるが、場合によっては非公募でも構わない。つまり競争入札にしなくてもよいのだ。合理的理由さえあれば、随意契約としても問題はない。

 ただし、事業者の指定にあたっては、運営委託費の額にかかわらず、必ず議会の議決を経なければならない。そのため、指定管理者の選定が、市長をはじめとした議会の与党議員たちの強い影響を受けた「政治家案件」になりやすい。

 ツタヤ図書館の場合、佐賀県武雄市、海老名市ともに、街の活性化に役立てたい市長サイドからCCCにアプローチしたとされていることからもわかるように、オープンな場で市民に説明しなくても、政治家がトップダウンで業者を決めやすい仕組みになっているといえる。

(2)情報開示請求が困難になる

 日本では「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)によって、行政が作成した書類については原則としてすべて開示することが義務づけられており、誰でも開示請求できる。そのため、図書館運営のような公務に関しては、仮に不正行為が行われていても発覚する可能性が高い。ところが、民間企業がからむ指定管理者においては事情が変わってくる。

 武雄市では、市民がCCCとの契約内容を開示するよう開示請求を行ったものの、市側は請求から1年以上たってから「契約内容はCCCの営業ノウハウに当たるため、開示できない」との決定を発表した。

 それを受けて市民側が異義申立を行った結果、情報公開審査会は「開示すべき」と判断し、武雄市がようやく開示に応じたが、請求から開示までになんと2年もかかっているのだ。

 それでも武雄市図書館のケースは、市当局が保持している情報だったために最終的には開示されたが、指定管理者しか保持していない情報についてはどうか。指定管理者の情報公開は努力規定にすぎないため、経理財務状況など指定管理者内部の情報については指定管理者が拒否した場合には、それ以上情報をたどるのはほぼ絶望的になる。

 うがった見方をすれば、指定管理者は都合の悪い情報をいくらでも隠蔽できるのだ。

ツタヤ図書館、契約ずさんとして住民が訴訟!市が住民の情報開示要求を拒否!深まる不信のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!