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介護事業者の経営は厳しさを増している
1月13日、大手信用調査会社の帝国データバンクと東京商工リサーチは、15年の老人福祉・介護事業者の倒産状況を発表した。帝国データバンクは倒産件数を58件、東京商工リサーチは76件としているが、両社とも「介護保険法が施行された00年以降、過去最悪」としている。また、倒産した介護事業者の中心は新規事業者で小規模事業者としている点と、倒産の一因として15年4月から9年ぶりに介護報酬が2.27%と大幅に引き下げられたことを挙げている点で、分析は共通している。
東京商工リサーチは「介護報酬改定では、基本報酬がダウンした一方で、充実したサービスを行う施設への加算が拡充された。しかし、小規模事業者では加算の条件を満たせないところも多い」とし、帝国データバンクは「介護報酬改定によって、経営悪化が進む事業者が相次いだ」としている。
このように安倍政権は、一方で介護報酬を大幅に引き下げて事業者の経営を悪化させ倒産に追い込んでいながら、他方では介護施設の増設により「介護離職ゼロ」という夢のような皮算用を行っている。
当然のことながら、介護事業者や介護職員にとって、インセンティブが働くような状況にならなければ、3Kといわれて敬遠される介護職員が増加する可能性は低い。このままでは、20年初めまでに介護離職ゼロという矢は間違いなく折れることになるだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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