ようやく決まった――。
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は25日、エンブレム委員会および理事会を開催し、いったんは決定したものの白紙撤回となっていた大会公式エンブレムの再選定作業を実施し、最終候補の4作品から作品A「組市松紋」を選定した。
エンブレムは昨年7月、佐野研二郎氏のデザインに決まったものの、他人のデザインに酷似していることなどが問題視され、異例の白紙撤回となっていた。その後、公募で1万4599作品が集まり、計14回にもわたるエンブレム委員会で選定作業が進められてきた。
25日の発表会見で森喜朗・組織委会長は挨拶し、「長い時間、ご心配をかけ申し訳なかった」と謝罪するとともに、11万件にも上る意見が国民から寄せられていたことなどを明かした。
その挨拶の際に森氏が強く手に握っていたカンニングペーパーが、記事冒頭の写真である。PCで作成されたその文書は、読みやすいように配慮されたためか、太く大きめの文字が印刷され、森氏が修正などのために書き込んだ形跡はなく、「応募いただいた約1万5千の」の数値の部分が丸くペンで囲まれているのみである。果たしてこの文面は、森氏が自らPCで作成したものなのだろうか。
「事務方が作成したものを、森氏がそのまま読んでいるだけでしょう。念のため森氏も事前にざっと目を通したかもしれませんが、基本的には渡されたものをそのまま読み上げていたという印象でした。
そもそも森氏が組織委会長に選ばれたのは、森氏が文科族のドンで、東京五輪開催を取り仕切る文科省に絶大な力を持っており各方面ににらみが利くので、反対意見が出ない状況をつくり運営を円滑進めたいという安倍晋三首相の意向が強く働いたためです。言ってみれば、ただの“お飾り”。昨年、東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の整備費が当初見込みの1300億円から2倍近い2520億円にまで膨れ上がり計画が白紙に戻された際、『国がたった2500億円も出せなかったのかね』と発言し批判を浴びましたが、組織委会長としての見識・資質を疑問視する向きも当初から多かったのは事実です」(全国紙記者)
事務方の用意したカンペを棒読みする人物が運営トップを務める東京五輪、果たして今後大きな問題を起こすことなく開催にこぎつけることはできるのだろうか。
(文=編集部)