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【熊本地震】別府のホテルで一日の1500人キャンセル、百万人超のインバウンドが消滅危機

文=編集部
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 外国人観光客の急増は、地震に見舞われた熊本県も同じパターンだった。観光庁の調査によると、熊本県の外国人延べ宿泊者数は14年が48万人、15年は74万人で前年比56%増と大幅に増えた。九州では福岡の238万人、長崎の84万人に次いで第3位となっている。日本人と外国人を合わせた15年の延べ宿泊者数は748万人と前年比9%増で、今後への期待が高まっていた矢先だった。
 

観光の目玉「熊本城」と「阿蘇」の被害が痛い

 とりわけ熊本県にとっては、最大の観光資源である熊本城と阿蘇の被害が大きく報じられ、観光客のマインドにどのような影響を及ぼすか懸念されている。

 15年10月に日本政策投資銀行が発表した「熊本のインバウンド観光の現状と今後の方向性」の中に、アジア8地域を対象にした興味深い調査結果が紹介されている。そのひとつが、熊本・阿蘇の認知度と訪問意欲の調査である。認知度はアジア8地域全体では17%だが、香港は46%、台湾では41%となっており、飛び抜けて高い。半面、シンガポールやマレーシアなどはわずか3%である。

 訪問意欲は、全体では5%にとどまるが台湾が13%、香港が12%と悪くない数字だ。もっとも、2回以上の訪日経験者でみると全体で11%に倍増し、台湾は20%、香港も15%と高くなっている。日本の観光地事情に詳しいリピーターは、熊本・阿蘇への関心がそれなりに高いことがうかがえる。

「加藤清正が築城した名城・熊本城や阿蘇山の広大な自然、阿蘇の麓の温泉と、九州の観光のルートに熊本を組み込む外国人観光客が、これから増えていくと予想されていた。東京―大阪を周遊するゴールデンルートだけでなく、日本の観光の新たな魅力として熊本への関心が高まってきていただけに残念です。19年のラグビーワールドカップ(全国12都市で開催)では、熊本は福岡、大分とともに開催地に選ばれた。関係者は世界に向けて熊本の魅力を発信する絶好の機会ととらえていました。今回の地震の影響がいつまで続くのかはわかりませんが、ワールドカップまでに復調することを願いたいですね」(同)

 野村証券の試算では、九州地方の旅行客が今後半年間で3割減少した場合、観光消費は870億円の減少となるという。

 4月25日、政府は熊本地震を「激甚災害」に指定した。一刻も早い指定が待たれていたため、ようやくといった感がある。被災地の復旧、復興を急がなければ、熊本や九州への観光客の足は遠のくばかりである。
(文=編集部)

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