3月31日、米国通商代表部は「1974年通商法」に基づいて米国連邦議会に「2016年外国貿易障壁報告書」を提出した。TPP(環太平洋経済連携協定)合意後初めての同報告書ゆえに、ここから米国政府の食の安全に関する対日要求内容を確かめることは、TPPによる食の安全への脅威を理解するにあたっても重要である。
同報告書の「日本」の項目「衛生・植物検疫措置における障壁」「食品安全」は、「牛肉及び牛肉製品」「ゼラチン及びコラーゲン」「食品添加物」「収穫前・収穫後に使用される防かび剤」「農薬の最大残留基準値」となっている。これらが米国政府の対日関心項目である。それぞれ衆議院調査局農林水産調査室が翻訳をしているので、その内容を以下に記す。
・牛肉及び牛肉製品
米国の日本向け牛肉輸出は、2013年の日本市場に対する米国のアクセス拡大以降、著しく成長しており、2015年には13億ドルに達した。米国は、日本に対し、米国が無視できるBSEリスク国であるとする国際獣疫事務局(OIE)の認定に即した、全月齢の牛由来の牛肉及び牛肉製品について、完全に市場を開放するよう求め続ける。
・ゼラチン及びコラーゲン
日本は、科学及びOIEのガイドラインに整合する反芻動物由来のゼラチン、コラーゲン及び原材料について、2件を除く全てにその市場を開放した。米国は、2016年、残りの製品の市場開放に向け、日本とともに努力を続けていく。
・食品添加物
日本の食品添加物の規制は、いくつもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限している。米国および他の市場で広く使用されている数多くの添加物が、日本では認可されていない。さらに、米国の製造業者は、間接食品添加物(すなわち、溶媒のような、消費される時点で食品中にもはや含まれていない添加物)に関する日本の認可プロセスの長さについて懸念を示している。
(略)2002年、日本は、迅速化された認可プロセスに従わなければならないであろう46品目の食品添加物のリストを作成した。4品目の例外を除いて全てが認可されており、米国は、4品目については日本が現在審査中であると理解している。米国は、その審査を完了するよう、日本に強く求めている。
・収穫前・収穫後に使用される防かび剤
米国は、また、日本が、収穫後の防かび剤で処理された製品について、各化学物質の記載や販売時にこの種の処理がされたことを示す文言の表示の義務を課すことを憂慮しており、これらは、当該製品についての需要を阻害する。米国は、これらの問題について、日本政府とともに作業を続けていく。