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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

個人消費、昨年の消費増税後にリーマン危機以上に低迷長引く…政府、大型補正予算か

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

 また、夏の参議院選挙を見据えた景気対策の意図もあることからすれば、サミットで示されたG7が機動的な財政出動と構造改革の推進に協力するという宣言を踏まえ、日本が率先して政策総動員で取り組む姿勢を前面に打ち出すという意図から、需要不足解消に地震の復旧・復興の費用を加えることで、規模がさらに膨張して真水で10兆円規模の対策に拡大する可能性も十分に考えられよう。

経済対策のメニュー

 一方、経済対策のメニューについては、消費税率引き上げ後の個人消費の低迷がリーマンショック後以上に長引くなか、政府が5月に公表した「ニッポン一億総活躍プラン」に沿った個人消費の喚起策が中心になろう。

 このほか、3月24日に開催された平成28年第4回経済財政諮問会議において、民間議員がGDP600兆円の実現に向けて「消費の持続的拡大」と題して提案した内容も参考になろう。具体的には、アベノミクスの成果を活用して就業促進や人材投資、多様な働き方改革、待遇改善を進めるメニューが並ぶ。

 なかでも注目のメニューは、負担減のため働く時間を抑える「年収130万円の壁」の克服や長時間労働の抑制と有給休暇取得の促進が挙げられよう。また、健康増進・予防サービス分野や子育て・介護サービス、まちづくり、インバウンドを含む国内外旅行、TPP市場、シルバー市場など有望分野のイノベーションや規制改革を通じて、国民が求める新たな財・サービスを生み出すとしている。ここでの注目メニューは、プレミアム付き商品券や旅行券発行、地方乗り入れの格安航空会社やクルーズ船の発着拡大などが挙げられる。

 ただ、消費喚起策のメニューだけで事業規模を6兆円以上にするのは困難であろう。従って、実際に打ち出される補正予算については、消費喚起策に加えて公共事業の支出増が加わる可能性が高い。具体的には、訪日客が乗り入れる空港やクルーズ船が停泊できる港湾等の整備に加えて、リニア新幹線の延伸時期の前倒し、熊本、大分県の地震被害の復旧・復興や老朽化インフラの大規模な改修工事等のメニューが加わることが予想される。

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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