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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

SEALDs、参院選期間中の政治活動は規制対象…公示後の活動が公職選挙法違反に問われる恐れ

文=渡邉哲也/経済評論家
SEALDs、参院選期間中の政治活動は規制対象…公示後の活動が公職選挙法違反に問われる恐れの画像1SEALDsの奥田愛基氏(左)と野党3党首(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 本連載では、前回前々回の記事で、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の政治資金規正法違反の疑惑について、お伝えした。

 SEALDsは2015年10月23日に政治団体の届け出をしているが、届け出前に寄付やカンパを募っていたほか、朝日新聞に意見広告を掲載している。これは、政治団体の届け出前の政治活動に関する寄付や支出の禁止を定める政治資金規正法第8条に違反する疑いがある。

 また、SEALDsは前身団体のSASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)の銀行口座でカンパや寄付を募っており、他人名義の口座でお金を集めることも違法行為にあたる。

 そのSEALDsだが、今度は活動内容次第で公職選挙法違反に問われる疑いも出てきた。6月22日、第24回参議院議員通常選挙の公示が行われ、7月10日の投開票に向けて選挙運動がスタートした。

 総務省のホームページを見ると、選挙活動とは「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」と書いてある。また、政治団体には「政党」「政治資金団体」「その他の政治団体」があるが、SEALDsは「その他の政治団体」で登録されており、これは総務省の一覧表からも確認することができる。

 そして、参院選の場合は政党や候補者など、一定の要件を満たした「確認団体」以外の政治団体は、ほとんどの運動が禁止される。演説会の開催、ポスターや立て札の掲示、ビラの頒布などができなくなるわけだ。

 これは、公選法の「第十四章の三 政党その他の政治団体等の選挙における政治活動」で定められており、東京都選挙管理委員会のホームページにも書いてある。

 簡単にいえば、あくまでも選挙は有権者である国民と候補者と政党のためにあるわけで、公示後は候補者と確認団体(候補者や政党など)の運動員以外は、ほとんど何もできなくなるということだ。つまり、その他の政治団体であるSEALDsは、6月22日以降、自分たちのための政治活動も規制の対象になる。

 しかし、筆者の知る限り、SEALDs創設メンバーの1人である奥田愛基氏は、SEALDsの名前を用いて候補者の立会演説会に参加している。あくまでも、個人の資格で行えばいいのだが、これが団体の政治活動の一部として判断された場合は公選法違反に問われる可能性がある。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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