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仮に、ある言動がヘイトスピーチだとして、民事上の不法行為に当たるかどうかが裁判で争われた場合、それを判断するのは裁判所だ。いざ裁判になってみなければ、言動の違法性が認定されるかどうかわからないのだ。行為者がヘイトスピーチに当たらないと考えたとしても、裁判所により事後的に違法行為と認定され、慰謝料や損害賠償の支払いなどが命じられるおそれはあるといえる。
このようなおそれがある以上、罰則規定の存在しないヘイトスピーチ対策法によっても、迂闊に意見表明できないという意識を植え付けることになると中尾弁護士は指摘する。
またヘイトスピーチ対策法は、行政の対応にも変化をもたらしている。神奈川県川崎市が、ヘイトスピーチを行うための公園使用を不許可処分としたことについて、福田紀彦川崎市長は6月7日の会見で「私たちの下した判断も、今回のヘイトスピーチの対策法という法律が制定したことが大きな後押しになっていることは間違いない」と述べていて、影響は表れているといえる。
罰則がなくても、ヘイトスピーチ対策法は確実に社会を変え始めている。各自治体や警察の運用状況なども踏まえ、今後もさまざまな角度から、そのあり方について広く議論されるべきだろう。
(文=Legal Edition)
【取材協力】弁護士 中尾慎吾
男女問題や経営問題を中心に扱う。弁護士活動を通じて獲得した知識と人脈を最大限に活用し、各種コンサルティングも行う。弁護士登録の当初から、Twitterを通じた積極的な情報発信も行っている。
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