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黒いカネまみれの東京五輪…実行部隊・電通は莫大な利益、驚愕の巨額賄賂工作の実態

文=西本頑司/ジャーナリスト

 しかも、「今回の裏金問題は氷山の一角です。今後もまだまだ出てくる」と語るのは、IOC理事を務めた猪谷千春氏などを取材してきたスポーツジャーナリスト・B氏である。

「JOCや体協(日本体育協会)は、元選手と天下り官僚の寄り合い所帯。招致委員会も、実際は電通がすべて仕切っていました。そのため、これまでの日本側の不正には必ず電通が関わってきたのです。

 たとえば、IOCにはもらっていいプレゼントは2万円以内という内規があります。そこで、IOC委員を招く会合で数十万円もするモンブランの高級万年筆を筆記用具として用意。『プレゼントではない』と言い張り、事実上のプレゼント攻勢をかけたこともありました。

 また、大会やシンポジウムに海外のIOC委員を招待する名目でファーストクラスの航空券を送り、その払い戻しのお金を『賄賂』にするのも常套手段です」(B氏)

 1998年の長野五輪では、来日したIOC幹部に日本刀などの美術品を「お土産」として渡したという。美術品は値があってないようなものなので、賄賂をカモフラージュするのに非常に便利なのだ。こうした裏工作のほとんどが、電通による仕業というのである。

五輪を「売りさばいて」利益を得る電通

 スポーツジャーナリズムの間では、「電通こそが、オリンピックを腐敗させた元凶」が世界的な共通認識になっているという。電通は84年のロサンゼルス五輪から「五輪ビジネス」に深く関与している。

 戦後、五輪が国際的な人気イベントとなったのは、テレビの普及もさることながら、「米ソ冷戦の代理戦争」の側面が大きかった。アメリカを中心とする西側諸国と旧ソビエト連邦(現ロシア)の東側諸国が、スポーツの場で全面対決する。国家の威信を懸けて熾烈なメダル競争をするため、どんなマイナー競技でも緊張感が高まった。戦後の五輪は、ある意味、プロレスのようなわかりやすい構図で広まっていったのだ。

「しかし、80年のモスクワ五輪を西側諸国がボイコット。84年のロス五輪も東側の不参加が確定していました。東西対決がなくなればロス五輪は失敗し、大赤字になる。そこで暗躍したのが電通でした」と語るのはB氏だ。

「ロス五輪実行委員会の依頼を受けた電通は、『商業オリンピック』という従来にない手法を提案したのです。大会のテレビ放送は莫大な放映権料を払ったメディアのみに与え、会場の広告や五輪マークなどの使用も、やはり巨額の契約金を払った公式スポンサーだけに制限。さらに、不参加となった東側諸国の穴埋めに、プロ選手の出場解禁や、それまで五輪種目でなかったアメリカの人気スポーツを競技に加えました。その結果、ロス五輪は400億円の黒字を記録したのです」(B氏)

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