「九州は地震が少ない?」
そう考えて、東日本大震災後に熊本県に移住した人も多いという。しかし、今年4月、熊本地方を震源とする大地震が発生し、日本列島のどこでも地震が起きるということがあらためて認識された。
熊本地震では布田川断層帯と日奈久断層帯と呼ばれる活断層が震源となり、地表が約2メートルもズレたことが確認されている。活断層とは、過去に地震を発生させ、将来的にも活動すると考えられる断層のことだ。活断層が発生源となる地震は、内陸部の浅いところが震源になるため、被害が大きくなりやすい。
日本列島には、こうした活断層が周辺海域を含めて約2000カ所以上もあり、いつ大地震が起きても不思議ではない。実際、1995年に6434人の死者を出した阪神・淡路大震災も活断層によるものだ。同規模の大地震が東京23区内で発生すれば、より大きな被害が出ることが予想される。では、実際に東京で大地震が起きる可能性は、どれくらいあるのだろうか。
M7の大地震が30年以内に首都圏で発生?
「30年以内に、かなりの高確率で首都圏大地震が起こります」
こんな衝撃的な予想をするのは、東京大学地震研究所の平田直教授だ。しかし、平田教授によれば、それは活断層によって引き起こされる地震ではないという。
「東京23区内には多くの断層がありますが、活断層は見つかっていません。調査で見落としていることも考えられますが、それはかなりまれなケース。23区内に活断層がある可能性は低いでしょう」(平田教授)
都内で確認されている活断層は、関東山地東部から武蔵野台地西部にかけて分布する立川断層帯だが、これが活動する可能性は30年以内に最大2%といわれている。それでも、熊本地震を起こした活断層での確率より高い。しかし、もっと確率の高い、注意すべき地震がある。
では、大地震はどんな発生源によって起きるのか。平田教授によると、それは「フィリピン海プレートの沈みこみに伴う地震」だという。
「相模トラフからフィリピン海プレートが沈み込むことによって大地震が起きる可能性が、かなり高い。30年以内に70%の確率で起きるでしょう。地震の規模はマグニチュード7程度と想定されています」(同)
しかも、注意しなければならないのは、これは30年後に大地震が発生するのではなく、「30年以内に関東のどこかで発生する確率」ということ。つまり、今日や明日に大地震が起きるというのも、十分にあり得ることなのだ。