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江川紹子の「事件ウオッチ」第60回

「日本国の象徴」とはーー天皇陛下の【お気持ち表明】に思う

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 多くの国民に敬愛されている陛下のことだ。たとえ今の立場を退かれても、病に伏せば快癒を願い、亡くなれば哀しみを覚えるのが大多数の反応だろう。また、海外から訪れた人たちからも、お見舞いや弔意を表する動きが出るだろう。ただ、そうした個々の自然な感情の発露にとどまらず、国全体への大きな影響を与えてしまうのが、「日本国の象徴」たる天皇の立場だ。

 それを自覚されているからこそ、国や国民にマイナスの影響を及ぼす事態は避けたい。そのような陛下のお気持ちは、単に陛下の個人的要望ではなく、国として真剣に受け止めなければならない課題を提起されたと考えるべきだろう。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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