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被害者の「気持ち」任せ
結論から言えば、個人で対処し、どうするかは自分で決めるしかない――というのが現実だった。総合フリーダイヤルに電話したところで、「気持ちのいいことではない」と愚痴をこぼしただけで終わりだろう。時間のムダであり、何の解決にも至らない。
そこで、更新期限が迫っていた母の介護保険の更新手続きは、当初のマイナンバーのまま行うこととし、手続き終了後に母のマイナンバーを変更することにした。マイナンバーの紛失で被るかもしれない不利益と比べて、介護保険の更新期限内に手続きを終えられないことによって被る不利益のほうがはるかに大きいと判断したからである。
それにしても驚かされるのは、市役所は筆者から指摘されるまで、たとえマイナンバーが記入された書類が郵便事故で行方不明になろうと「大した問題ではない」ととらえている姿勢が垣間見えたことだ。筆者が郵便事故を問題視し、マイナンバーの変更手続きについて訊ねることがなければ、母のマイナンバーは変更されることもなかったのである。
しかも突き詰めれば、今回、行政機関が母のマイナンバー変更を認めた理由とは、なんと「お客さまからすれば、気持ちのいいことではない」からだった。こんなことが発生するたびにマイナンバーの変更作業に追われることになる地方自治体職員の皆さんが、気の毒でならない。
明確な変更基準が用意されているわけでもないのは、今回、筆者の母を見舞ったようなトラブルが、マイナンバー制度導入の際になんら想定されないまま、見切り発車してしまったからなのだろう。
被害の救済や回復の中身は、被害者の「問題意識」次第であり、すべては被害者の「気持ち」任せ――。これで、いいのだろうか。
(文=明石昇二郎/ジャーナリスト)
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