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経済構造の転換には時間がかかる。苦境に直面する経済を支えるためにも目先の資金をなんとかして確保しなければならない。そのために、世界最大の石油会社、国営サウジ・アラムコの上場を目指している。その時価総額は約220兆円に達するとみられ、世界最大の企業が上場することになるだろう。
改革を首尾よく進めるためには、アラムコの収益基盤=原油価格の持ち直しが欠かせない。そのため、サウジはイラン等に配慮しつつも、OPEC全体での意見集約を取り付け、原油価格が持ち直す環境を整えたかった。
もし、サウジがイランに生産制限を要求し続け、OPEC加盟国の意見がまとまらない場合、市場は減産が困難と判断し、原油価格には下押し圧力がかかるはずだ。そうなると、OPECの盟主としてのサウジは面目を失い、さらなる財政悪化、景気低迷に直面するだろう。その結果、社会の不満がたまりイスラム原理主義への傾倒、さらにはテロにつながる恐れもある。
注意が必要な原油価格、サウジアラビアの動向
以上の内容をまとめると、臨時総会での決定が産油国の減産への取り組み、そして、原油価格の安定につながるというのは早計ではないか。増産を続けたいイラン、政情不安から産出が落ち込んだリビア、ナイジェリアへの例外措置が認められると考えられている以上、OPEC加盟国以外も含め産油国が減産の意義を尊重するとは考えづらい。
また、原油の需給をOPECだけでコントロールすることは困難になっている。米国のシェールオイルの増産だけでなく、カザフスタンのカシャガン油田の稼働により、17年を通して供給過剰が続くと考えられている。中国など新興国での原油需要も低迷基調で推移する可能性が高く、需給のだぶつきは続くだろう。基調として原油価格は不安定に推移すると考えた方がよさそうだ。
そうなると、サウジの経済的苦境は続く可能性がある。9月25日には、同国中央銀行であるサウジアラビア通貨庁が、国内の銀行に200億リヤル程度(約5400億円)の緊急支援を発表した。過去2年間の原油価格の下落の結果、同国の銀行は預金の流出に直面し、流動性が枯渇しているとみられる。
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