それらの写真を見ると、巨石が完全に取り除かれ、穴を掘り直し、再設置の際にコンクリートが流し込まれた様子がわかる。巨石が据え置かれていた地面は掘り返され、土はまとめて横に盛られているが、たとえば巨石の直下は砂利敷きだったのかなど、十分な土壌調査と詳細な記録を経て行われていたのか疑問は残る。
また、いくつかの石には裸の状態でロープが巻かれて吊り上げられていたことや、子供を含めた見物人もいたこともわかり、国家プロジェクトによるプロフェッショナルな作業というよりも、むしろ民間ボランティアが週末に行ってきた作業のような印象すら与えるものである。
以下の写真:FISHKI.NET
疑惑を呼ぶ巨石
ところで、ストーンヘンジに利用されている石は、火成岩のドレライトと堆積岩の砂岩が主体だが、奇妙な巨石がある。それが次の写真に写っているものだ。完璧な直方体のコンクリートの塊が巨石の芯を構成しているようにみえる。良心的にみれば、巨石の内部をくり抜いてからコンクリートの基礎(芯)の上に被せるように載せられたのだと考えられるだろう。
だが、一部の人々は、石自体が完全に作り物であり、予め用意しておいたコンクリートの芯の周りにそれらしく加工したコンクリートを被せたのではないかと疑っている。つまり、セメントに混ぜ込む砂や小石などを厳選し、巧く加工すれば、天然石のように加工できるのではないかというのである。
確かに、この点は説明されるべきだろう。それがないために、ストーンヘンジという古代人による神秘的な遺産は、20世紀に国家ぐるみで脚色して作り上げられたものだという極論まで生まれているのである。
ただ、ひと昔前までは、絵画のような美術品の修復においてすら、元の状態を想像して、修復師が上から新たに絵具で描き足すという作業が続けられてきた。そのため、オリジナルとの乖離は珍しいことではなかった。同様にして当時、ストーンヘンジの復元にかかわった人々も、現代の感覚からすると違和感を伴うかもしれないが、さまざまな復元方法はあり得、自分たちの活動に誇りをもって取り組んできたものと思われる。そのような意味では、おそらく、復元作業において特別深い意図はなかったものと想像される。