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大阪万博誘致に巨額税金投入の謎…また役人が外遊三昧&大工事先行の懸念

文=粟野仁雄/ジャーナリスト

 すでに昨夏のミラノ万博を視察した松井知事は「パリ詣で」もしている。今後も府市職員や議員らは視察名目で欧州旅行などをたっぷり楽しんだあげく、「やはりBIEの本拠地、パリは強かった」で終わらせることは許されない。

 そんな万博だが、一般の人々の興味は減退している。過去、5回の万博で日本館をプロデュースした「現代芸術研究所」の平野暁臣主宰は、「万博は死にかけている。現場の活気の衰退はすごい。70年万博では岡本太郎や横尾忠則など何をやるかわからない人たちに任せ、社会にも気概と志があった。しかし70年の成功で万博はビジネスになり、その後の国内の万博は大阪万博の変形でしかない」と警鐘を鳴らす(11月10日付朝日新聞より)。

 大阪万博では、アポロ11号が持ち帰った月の石は大人気で、展示されたアメリカ館は簡単には入れなかったが、愛知万博(05年)では今や国内の常設展示でも見られる月の石を展示する新鮮味のなさ。大阪府は25年万博のコンテンツとして、健康、長寿、和食、スポーツ、サブカルチャー、大阪流のお笑いなどを掲げているが、“ごった煮”感があるのは否めない。

 基本構想において、会場建設費用は約1300億円。さらに人工島への地下鉄延伸費用等700億円、想定入場者3000万人、経済効果は6.4兆円と目論むが、あまりに根拠がない。ちなみに25年から55年も遡る1970年の大阪万博は建築費用522億円で約6400万人を動員した。

批判かわし狙いか

 大阪五輪名目で先行開発した夢洲や舞洲は現在、更地だらけ。大阪府職員労組の有田洋明委員長は、次のように指摘する。

「“税金無駄遣い島”への批判をかわしたい松井知事は、IR(統合型リゾート)でカジノ誘致を進めていますが、イメージアップのため万博を抱き合わせたい魂胆です。地道な行政を怠り、イベントでごまかすことばかり」

 また、大阪府の税金無駄遣いを監視する市民団体「見張り番」の松浦米子代表は、「五輪と同じで開催が決まらないうちから大工事。税金での外遊も相次ぎそう。しっかり監視したい」と構える。

 25年万博誘致の言い出しっぺは、大阪出身の作家・堺屋太一氏だとされている。通産官僚時代に70年万博を仕掛けた堺屋氏は、その大成功で名声を得たが、今は高度成長期ではない。「夢よ、もう一度」を無責任にぶちあげる首長や役人や議員、さらにはマスコミに大阪府民は騙されてはならない。
(文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

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