ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 米国で人種差別が激化…日本人も標的  > 3ページ目
NEW

トランプ当選、米国内でむき出しの「人種差別」過激化…生命の危機感じた日本人の帰国の嵐

文=編集部
【この記事のキーワード】, , , ,

トランプに熱狂するアメリカと、それを冷めた目というか、ちょっとバカにした空気で見ているアメリカ。この2つの人たちの間に、あまりに深い溝があることが見えてしまったんです」(吉田さん)

 その深い溝の代償は、有色人種、特に黄色人種に最初に向けられる気がしたという。その「皮膚感覚」が現実のものにならないうちに、家族を守るためにも吉田さんは日本に帰ってきたのだ。

「トランプが共和党の指名候補になる可能性が高まったころに帰国準備を始めて転職先も決めていたので、安心して帰って来ることができました。とにかく、帰国直前はいろいろな街でこれ見よがしに銃器を持ち歩く人が増えていたんです。また、あからさまに人種差別発言やその手の態度をとられることも増えていました。以前は東洋人でも『日本人』と言えば相手の態度は親しいものになったのですが、もう関係ありませんでした」(同)

トランプが開け放った「パンドラの箱」

 吉田さんが渡米したころ、アメリカには「有色人種が大統領になる」という空気はまったくなかったという。それが、08年の選挙でバラク・オバマ氏が次期大統領に選出された瞬間、吉田さんは「アメリカが変わった」と心底感じた。しかし、今回のトランプ氏に対する熱狂に関しては、「オバマ大統領誕生のときとは正反対のことが起きたと感じた」(同)という。

「おそらく、『我こそはアメリカの支配者だ』と思っている白人アメリカ人の心のどこかに、トランプがいたんです。ちっちゃいトランプですね。これまでは、それを良識で押さえ込んでいた。『成功するアメリカ人は、差別的発言をしてはいけない』『そういう理想と知性がなければ、世界のトップたり得ない』と思おうとしていたのでしょう。

 しかし、ビジネスで成功を収めているトランプがそれを打ち破って、みんなが『言ってはいけない』と思っていたことを叫び始めた。まさに、パンドラの箱を開けたのです。もう、仮にトランプが負けたとしても、『これだけ分断されたアメリカを元に戻すのは無理だ』と感じました。本気で生命の危機を感じ、子供や家族の安全を常に気遣いながら生活することの意味を考えました。それなら日本に帰ろう、と。子供も同意見だったので帰ってきました。トランプ勝利は日本で知りましたが、予想できた結果です」(同)

 アメリカからの帰国を決める日本人は、今後ますます増えていくのかもしれない。最後に、母国のアメリカを捨てて日本に移住したアフリカ系アメリカ人の言葉を紹介したい。

「日本では、たとえ差別されたとしても、『黒人だ』というだけでつばを吐きかけられることも、いきなり殴られることも、ましてやいきなり撃たれることもないでしょ」

 アメリカの分断が止むことはなさそうだ。トランプ氏は17年1月20日に第45代大統領に就任する。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

トランプ当選、米国内でむき出しの「人種差別」過激化…生命の危機感じた日本人の帰国の嵐のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!