ZOZOの創業者で実業家の前澤友作氏は、ZOZOの代表取締役を退いてからも常に話題を振りまいている。女優の剛力彩芽との恋愛もそうだが、Twitter上でたびたび展開している「お金配り」も注目度が高い。
昨年1月に「総額1億円のお年玉」を皮切りに、自身のアカウントをフォローしている人に抽選などで10万円から100万円をプレゼントするキャンペーンを何度も開催し、フォロワーはついに1000万人を超えるに至った。
その前澤氏の人気に乗じるかたちで、フォロワーを集めようとする偽アカウントも次々に作成されている。そんな“なりすましアカウント”に対して前澤氏が18日、「前澤友作なりすまし偽アカウントについての弁護士見解」と題して、警告を発した。
前澤氏は「僕のアイコンを使うことも、僕を騙ったなりすましも、いずれも違法の可能性があり損害賠償や刑事責任を問われます」とした。公開された弁護士の文書によると、偽アカウントは複数確認されており、なかには16万人のフォロワーを持つ事例もあるという。
有名人になりすました偽アカウントとしては、有名ユーチューバーの「ヒカル」も被害に遭っている。たとえば「ヒカル【時給日本一YouTuber】」と名乗るTwitterアカウントは、たびたび「前澤社長に対抗して皆さんに夢を与えます。【総額2億円】 200名様に100万円をプレゼント!」などとツイートし、アカウントをフォローするように呼びかけているが、このアカウントはヒカルではなく偽者だ。おそらくお金を配るというのは真っ赤な嘘だろう。
ところで、このような偽アカウントを作成するのは、前澤氏の言うように違法となるのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、次のように解説する。
「前澤さんの写真を使った『なりすましアカウント』の場合、前澤さんの肖像権を侵害する可能性がありますが、これはあくまで民事(損害賠償)の話であって、刑事(犯罪、刑事罰)の話にははりません。
また、なりすましでアカウントを作成すること自体は、そのアカウントで誰かを誹謗中傷したり(名誉毀損罪)、嘘の情報を流して信用を毀損したり(信用毀損罪、偽計業務妨害罪)するのでなければ、なんらの犯罪も成立しません。
結局、なりすましで作成したアカウントを、どのように使用するかによって、場合によっては民事上の損害賠償義務が発生したり、刑事上の処罰がなされたりするということです」
つまり、「アカウントの作成」のみであれば違法とはいえないが、写真の使用や、当該アカウントでつぶやいた内容次第で、罪に問われる可能性があるといえる。
(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)
●山岸純/山岸純法律事務所・弁護士
時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。