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日本会議を直撃、「安倍政権の黒幕説は暴論」「日本会議は過大評価されている」

構成=長井雄一朗/ライター
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日本会議を直撃、「安倍政権の黒幕説は暴論」「日本会議は過大評価されている」の画像1安倍晋三首相(前方中央)と天皇皇后両陛下(後方)(写真:ロイター/アフロ)

安倍政権の黒幕」ともささやかれる保守系団体「日本会議」とは、どんな組織なのか――。

 8月16日付記事『日本会議を直撃、誤解に反論…「安倍政権への働きかけはない」「戦前回帰は狙ってない」』では、謎多き日本会議の実態を探るべく、広報部長の村主真人氏に話を聞いた。

 前回は、憲法改正に対するスタンスや教育勅語の意義などを中心にお伝えしたが、今回は歴史問題や天皇陛下の生前退位などについて、さらに村主氏の話をお伝えする。

「靖国神社は首相が参拝することが望ましい」

――歴史問題について、うかがいます。「日韓併合」「満州事変」「日中戦争」「太平洋戦争」についての是非、「従軍慰安婦」「徴用工」の問題についての見解は、いかがでしょうか。

村主真人氏(以下、村主) これらは、個別に答えるのは非常に難しい問題です。是非や見解について、一問一答で即答できる見解を持ち合わせておりません。

 日本会議の歴史問題についての主な取り組みは、靖国神社で毎年「戦歿者追悼中央国民集会」を開催していることが挙げられます。集会では、毎年「終戦の詔書」の玉音放送が流されます。

 個人的な見解ですが、先の大戦を見る際には「開戦の詔書」「終戦の詔書」を歴史的史料として、もう一度紐解く必要があると考えます。そこには、当時の日本が置かれた国際環境や諸外国に対する日本の立場が明確に表れているからです。

 こうした日本の立場を真っ向から否定したのが、「極東国際軍事裁判(東京裁判)」でした。戦後に新たにつくった「事後法」で日本の戦争のみを戦勝国が裁き、戦勝国の戦争犯罪は審理の対象から外され、日本側が提出した弁護資料もことごとく却下されました。

 また、「ヤルタ協定」などによって、戦後の日本の領域を連合国が一方的に線引きした点も、現在の北方領土問題に直結しています。

 日本がGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に占領されていた当時、国内では厳しい検閲が行われ、占領政策、特に「東京裁判」や「都市爆撃」「原爆投下」といった、連合国側の戦争犯罪に対する批判を行うことができませんでした。

 そうしてできあがったのが、戦後の我が国を覆ってきた歴史観であり、その影響は今日も続いています。連合国側の立場のみを唯一の歴史観とする「東京裁判」の呪縛から自由になることが、近代の戦争の公正な評価を行う出発点になると考えています。侵略か自衛かといった二者択一的な論争では、とても大東亜戦争の複雑な側面を表すことはできません。

 以上に述べた戦後の歴史認識の見直しという課題は、戦争直後に他国によって規定されたものを日本人自らの手でとらえ直すという日本の自主性の回復のひとつであることは、言うまでもありません。

 また、靖国神社については、明治2(1869)年のご創建以来、国難に殉じた戦歿者を慰霊顕彰する国内の中心的な施設であり、総理大臣の参拝が定着すること望ましく、靖国神社に代わる無宗教の国立の追悼施設を建設する動きには反対する立場を取ってきました。

「日中韓で歴史観を一致させることは不可能」

――右派メディアでは「歴史戦」という言葉が使われ、戦争に対する正統性をうたっています。日本会議でも「歴史戦」という言葉を使っていますか。

村主 日本会議は「歴史戦」という言葉は使用していません。日本、中国、韓国の3カ国では歴史認識で大きく異なります。歴史観を一致させることは不可能で、おそらく今後も議論は平行線をたどるでしょう。

 たとえば「竹島」や「尖閣諸島」でお互いの主張が一致することは困難です。無理に一致させようとすると、どちらかの国の利益を損なうことにもつながります。

 相手に妥協して無理に歴史観を一致させようとするのではなく、自国の立場は堂々と表明し、他方で相手の主張には耳を傾けるなかで、互いの立場が違うという現実を理解する。相互理解から始めることが重要です。

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