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日本会議を直撃、「安倍政権の黒幕説は暴論」「日本会議は過大評価されている」

構成=長井雄一朗/ライター
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「天皇の退位に反発」報道に反論…「事実誤認」

――天皇陛下の生前退位については、どのようなスタンスでしょうか。

村主 日本会議では、「生前退位」ではなく「御譲位」という言葉を一貫して使っています。昨年7月にNHKの報道がなされて以降、会員のなかでもさまざまな意見が出ており、日本会議として統一した見解を出してきませんでした。

「天皇陛下に日本会議が猛反発」という一部の報道がありましたが、虚偽報道です。日本会議の活動に参画する学者・文化人の個人としての発言を、あたかも日本会議の公式見解であるかのように伝える印象操作です。統一した見解を出していないのに、どうして「反対している」と断定できるのでしょうか、理解できません。

 一方、法案が国会に提出される直前の3月に日本会議国会議員懇談会は次のような内容で意見を統一しました。それは、「時間的な緊急性にかんがみ、今上陛下のご譲位について法律上の位置付けを図ることが最優先事項だ」とする見解であり、「御譲位」に賛同する姿勢を明らかにしています。

 今回、天皇陛下が国民にお示しになられたお言葉は、現代社会においてご高齢の天皇陛下が、国民統合の象徴としてのご公務を果たし続けなければならないという新たに生じた課題として、引き続き私たちは考え続けなければならないと思います。

――7月に施行された「テロ等準備罪」法については、いかがですか。

村主 日本会議として意見集約していませんので、個人的な見解にとどめます。「特定秘密保護法」にも共通しますが、国内の法整備を進めないと国際的なネットワークに入れないとする政府の説明は理解できます。

 ただし、「内心の自由が侵害される」という懸念が現実に表明されていることについて、政府は国民の権利が侵害されないよう運用面で制度設計を行い、国民の不安を払拭する必要があるでしょうね。

――日本会議は20年目という節目を迎えました。今後の方向性について、お願いします。

村主 昨年来、日本会議については、残念ながら「戦前回帰」「明治憲法に戻りたい人たち」といった根拠ない言動が流布され、日本会議の実態と異なる虚像がつくられています。「憲法改正運動をしている人たちは、実は危険な思想を持っている」とレッテルを貼りたいのでしょう。

 しかし、憲法改正は、具体的な事実に基づいた議論を重ねてこそ論点が明らかになり、国民投票の判断ができるはずです。レッテルを貼って不安をあおる手法は何も生みません。

 たとえば、自衛隊や緊急事態条項を明記することは喫緊の課題ですが、一方で「平和主義を否定して戦争ができる国になる」とか「自民党の独裁が続く」という批判は、あまりに論理が飛躍しています。自衛隊も緊急事態条項も国民の生命財産の保護のためのものであり、「戦争ができる国」にするためでも「自民党の独裁」を目指すものでもありません。

 第1章の天皇については、日本会議の「新憲法の大綱」では「天皇は日本国の元首であり、日本国の永続性及び国民統合の象徴である」としており、対外的に日本を代表する元首とすべきと考えています。それは戦前の統帥権を復活したり、政治的な権能を持たせたりすることを目指すものではありません。

 日本国憲法はトータル103条の条文しかなく、条文数が少ない一方で内容が抽象的なため、さまざまな条文で解釈の幅が大きくなりすぎています。国政と国民生活を向上させるためにも、解釈の余地が少ない憲法に変えていく必要があると考えます。

 これからも堅実に啓発活動を継続し、理解と賛同が広がるよう努力していこうと考えています。

――ありがとうございました。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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