――歴史認識は別として、中国人や韓国人の方々との交流や付き合い方については、いかがですか。
村主 これはあくまでも個人的な見解としてお答えします。日本人と中国人や韓国人は見た目が似ているため、「同じような生活様式である」「同じ思考をする」という誤解があります。しかし、実際は床の座り方や食器の持ち方ひとつをとってもスタイルが違います。
たとえば、韓国の女性は座るときは「立て膝」ですが、日本人は「正座」が多い。韓国人からすると、正座は罪人の座り方であり、日本のイメージはよくありません。一方、日本人には韓国女性の「立て膝」を「下品だ」と受け止めます。これが欧米人の場合だと、見た目が違うために習慣が異なっても「そういうものだ」と受け止められます。
歴史や文化は、日中韓の3カ国の間で、それぞれ長く育まれてきたものです。そのため、異なる文化的背景を持っていることを冷静に受け止め、理解することが肝要です。3カ国で文化や習慣を一致させようというのは、そもそも無理があります。日常感じている違和感を差別に結びつかせないような付き合い方が求められます。
ヘイトスピーチ反対「憎悪は憎悪しか呼ばない」
――そんななか、在日韓国人などに対するヘイトスピーチが問題になりました。ヘイトスピーチを行っている団体について、一部で「日本会議の指導があったのでは」ともささやかれていますが。
村主 特定の団体の活動について言及することは差し控えます。その一方で、日本会議は外国人の地方参政権付与の法制定の動きには、一貫して反対の立場を取ってきました。この点について説明します。
地方参政権は、たとえそれが地方であったとしても、沖縄県の米軍基地問題や自衛隊誘致などを勘案すれば、国家の防衛政策を左右する選挙となり得る。そうしたことから、外国人参政権については反対の立場を取っています。だからといって、私たちは外国人参政権に賛成する団体を妨害したりしません。
ヘイトスピーチについては反対の立場です。憎悪は憎悪しか呼ばず、憎悪で何かを成し遂げられるとは思えません。表現の自由や言論の自由は大原則ですが、特定の人種や個人に対して、攻撃したり殺意を駆り立てたりする手法には一定の制約は必要でしょう。日本会議がそうした運動手法をとることはありません。
行政の外国人政策に問題があると感じるのであれば、それはマイノリティの集団に向けるのではなく、議会や行政に対する要望・請願といった民主主義のプロセスを経て議論し、制度を改善していくべきです。
――ヘイトスピーチ団体には、「自分たちこそ保守である」と主張する組織もあります。同じ保守からすれば、迷惑だと思うのですが。
村主 日本会議はヘイトスピーチを行う団体とは、まったく接点がありません。繰り返しになりますが、他団体のことについてはコメントできません。明確に言えるのは、日本会議は人種、民族、国籍、宗教に対して、差別や偏見を持った活動は行ったことはないということです。