ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 日本核保有と在韓米軍の不都合な真実  > 2ページ目
NEW
小林敬幸「ビジネスのホント」

日本の核保有と在韓米軍の不都合な真実…北朝鮮のICBMで日本の危険度は増えない

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
【この記事のキーワード】, , ,

 現在の米軍は、高度に機械化・無人化されており、軍人の命がとても高く扱われるので、攻撃するときに米国軍人が近くにいないほうが、動きやすいのだ。逆にいうと、米国が先制攻撃を一つの選択肢としたときには、在韓米軍が撤退し始める。その時に、北朝鮮は米国の敗退と誤解し、増長してさらに過激な行動をしてくる可能性もある。

 在韓米軍は、残っていても困るし、引き上げても困るにっちもさっちもいかない存在になってしまっている。これも、不都合な真実である。

日本が核保有を検討しないほうが周囲は不信を持つ

 
 日本の核保有について、国内では検討することすら大きな非難を巻き起こす。唯一の被爆国として、国民感情が許さないと。

 しかし、周辺国からしてみると、「国民感情」を理由に核を持たないと言われても、安易にそのまま信じる気になれない。国民感情などは、一つの事件で一夜にして変わることもあるからだ。リアリズムが支配する国際政治においては、「国民感情」を理由として持ち出すとかえって不信感が増す。

 国としての損得を考えれば、どういう条件のもとでなら核を持つほうがいいのか、あるいは、持たないほうがいいのか。そして、現在はその条件を満たしているのか。そういうことを政府や国会が、「感情」ではなく、ちゃんと理屈立てて議論をしたほうがいい。

 その結果、今の条件下では、核兵器を持たないほうが国益にとっていいという合意ができるのが好ましい。そうした検討は、国民感情を理由に検討すらしないよりも、日本の動きの予測可能性を増す。そうすれば、周辺国ももう少し安心できるし、その条件が変わらないように気をつけることもあるかもしれない。

 こうした不都合な真実を率直に認めて議論していかないと、民主主義国の外交は、いつかよりを戻せないほど国と国、国と国民が乖離していってしまう。それこそが、先の大戦から学んだことではないだろうか。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

日本の核保有と在韓米軍の不都合な真実…北朝鮮のICBMで日本の危険度は増えないのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!