また、「朝鮮民主主義人民共和国は、国の最高の尊厳が脅かされる場合、それに直接または間接的に加担した国と対象は核攻撃手段を含むすべての攻撃手段を総動員して、先制掃滅するように法律的に規制している」と反発。さらに「米国があえてわが最高首脳部をどうにかしてみようとするいささかの兆しでも見せるなら、われわれは今まで打ち固めてきた強力な核の鉄槌で米国の心臓部を無慈悲に打撃するであろう」と警告した。
金氏の雲隠れ
それとは裏腹に、金氏の雲隠れの回数も増している。韓国情報機関の国家情報院(国情院)は6月15日の韓国国会情報委員会で、金氏の今年の公開活動は51回となり、前年同期と比べ32%減少したと報告。これについて、「金氏が(有事の際に北朝鮮の最高首脳部を排除する韓国と米国の)『斬首作戦』に関する情報を探ることに血眼になっている」として、「(公開)活動を行っても明け方にする。地方を訪問する際は専用車に乗らず幹部の車に乗っている」と説明している。
8月20日付英紙サンディ・エクスプレスは、太永浩氏が英情報機関MI5やCIAに語った情報として、金氏はいざというときのために、ガソリンを満タンした小型ジェット2機を24時間待機させ、妻子らととも妻や人民軍幹部とともに中朝国境の鴨緑江を越えて中国領に逃走し、最悪の場合、中国に亡命する準備を整えていると報じているほどだ。
これを裏付けるように、ポンぺオ氏の極秘訪韓後、CIAを中心とする米情報機関の朝鮮半島問題担当者らの動きが活発化しており、数十人が韓国入りし、やはり脱北者を中心に事情聴取し、金氏の所在情報のほか、ミサイル発射や核実験を主導している軍の動きなどの情報を収集。さらに、米国土安全保障省の要員は朝鮮半島有事に備え、20万人あまりの韓国在住米国人の退避計画なども韓国側と検討に入ったという。
同筋は「金氏は最近、核戦力の完成について『その終着点にほぼ達した』として核弾頭の実戦配備にも言及しており、トランプ政権としては北朝鮮の核の脅威に対応する、ぎりぎりのデッドラインが迫っており、11月のトランプ大統領の日中韓3国歴訪までに具体的な対応を決めることになるのではないか」と指摘している。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)